2023年11月14日、IHIアグリテックは、ゴルフ場のラフ向けに、完全無人での芝草管理と高い刈り込み精度を両立させた3連ロータリーモア(※1)を、マミヤ・オーピ―(以下、マミヤ)と共同で開発したことを発表した。2024年度に市場投入、2025年度には量産を目指すとしている。

※1 機械の底面に横長の平らな刃を備え、中心の軸を地面と水平に回転させて草を刈る機械。広くて平地、石が少なく草丈がそれほど高くない場所に使われる。

自立走行式3連ロータリーモア「SC250iG」

 ゴルフ場の芝草管理は、傾斜面での作業や地形に合わせた刈り込み作業といった熟練の技術が必要とされる一方で、担い手不足、高齢化などから作業者の確保が年々難しくなっている。自動芝刈り機の導入により、省人化・無人化が期待される。

 IHIアグリテックは、フェアウェイ芝刈り機の自動化で実績があるマミヤの自律走行制御システム「I-GINS(アイジンス)」を搭載することで、ラフ向けの無人芝草管理を実現。車体には障害物検知センサーとバンパーセンサーを備え、進行方向に障害物を検出した場合、機体を自動で減速・停止させ、登録のスマートフォンに通知する。ロータリーデッキの昇降・回転・旋回の加減速を自由に調整でき、芝草を傷つけずに芝刈りが行える。刈り取り中に機体が停止した場合は、刈り残しがないよう少し後退してから作業を継続する。

 同製品はゴルフ場のほか、面積が広い平地向けにも拡販予定だ。

製品の特徴

スマートフォンで作業指示、遠隔操作
 作業者は、スマートフォンのアプリ上からあらかじめ用意された経路のセット(ターンや運転角度、速さ)を選択し、簡単に作業を指示できる。熟練者ではないクラブハウス従業員でもラフ刈りが可能。

夜間刈りにより集客率を向上
 コース管理作業を行う夕方には利用客を入れられず、集客機会を逃していたが、無人芝刈り機は夜間作業が行えるため、日暮れ直前までプレーでき、集客率向上に貢献する。高精度できれいなライン作りが可能。

マッピング方式から走行経路の変更も自在
 GPSの測位データを取り込んでコースマップを作成し、芝を刈る範囲を特定する。その後、芝草の状況に合わせ、どのように刈るのか角度や速度、ターンの方法など、キーパーの考えを反映した走行経路を専用の経路作成ソフトで作成し、これをもとに自動走行する。