2023年10月19日(米国)、Amazonは、イタリアとイギリス、および米国内で新たに追加される都市において、ドローン配送を開始すると発表した。2024年後半からドローンで商品を配送するオプションを選択できるようになる。

 約1年前から一部の都市で提供している「Prime Air(プライム・エア)」ドローン配送システムは、最大5ポンド(約2.3kg)の商品を1時間以内に配送する。新たにサービス提供を開始する3カ所目となる都市名については、今後数カ月の内に発表するとしている。イタリアとイギリスでは一部のフルフィルメントセンター(物流拠点)からの配送を開始。地域ごとに1つの拠点からスタートし、徐々に拠点数を増やしていく予定だという。

 また、従来モデルに比べて騒音が少なく、小型・軽量化した新型ドローン「MK30」を2024年末までに既存のドローンと置き換え、新たにサービスを開始する地域にも配備する予定だ。さらに、Amazonの配送ネットワークにドローン配送を統合し、一部の当日お急ぎ便の拠点から、ドローンでの配送を行うとしている。

Prime Airによるドローン配送の対象地域を拡大

 Prime Airプログラムを開発するにあたり、Amazonは、米国内外の規制当局およびEU、イタリア、イギリス、米国の地域社会と緊密に連携。安全で拡張性のあるサービスを構築するために、これまで十分な時間とリソースを投入してきたという。テクノロジーの改良を重ね、現在は適切なインフラストラクチャの構築を進めている。規制当局と緊密に連携しながら、該当する規制で定められた最高基準に合わせて設計を行っている。

 同社は2024年末までに、新たに3つの対象地域でドローン配送を開始する。ドローン配送を選択して、家庭用品や日用品、美容・コスメ用品、事務・テクノロジー用品など、重さ5ポンド以下の数千種の商品から注文ができる。

より速く低騒音、軽量化された新ドローン「MK30」

 最新型のドローンMK30は、飛行距離が従来のPrime Airドローンモデルの2倍になり、騒音は少なくなった。小雨や高温・低温といった気象条件下でも飛行が可能。独自の商品配送システムが搭載されており、ドローンの中に商品を収めて輸送する。

新型ドローン「MK30」

 旧モデルと同様に自律飛行を行い、障害物を回避できるよう感知・回避技術を搭載している。このシステムの強みは、前日には存在しなかった障害物(新たに樹木が植えられたり、移動式クレーンが進路内に入ってきた場合など)を感知して、回避できる点にある。

一部の当日お急ぎ便拠点からドローンで配送

 カリフォルニア州ロックフォードやテキサス州カレッジステーションにあるような、独立型のPrime Airデリバリーセンター以外からのドローン配送が可能となる。今後、Amazonの配送ネットワークへのドローンの統合が進むことで、従来の配達用トラック、Amazonフレックス車両およびPrime Airドローンを使用して、同じ建物から商品を発送できるようになる。

 米国では、一部の当日お急ぎ便に対応するデリバリーステーション(配送センター)からドローンを飛行させる予定。基本的にこれらのステーションはフルフィルメントセンターの小型版であり、注文当日の配送に対応する。同拠点の品揃えは、すぐに欲しい・必要な商品で、ドローンでの安全な配送が可能であるという条件に合ったものとしている(風邪薬やバッテリーなど、ドローンで運べるサイズ・重量の商品)。

【参考動画】Amazon Pharmacyにおける薬のドローン配送(Amazon News YouTubeチャンネル)