2023年10月25日、メトロウェザーは、シリーズAエクステンションラウンドとして、池田泉州キャピタル、岡三キャピタルパートナーズ、りそなキャピタルおよび社京信ソーシャルキャピタルがそれぞれ運営する投資事業組合を引受先とする第三者割当増資により、総額1.5億円の資金調達を実施したことを発表した。これにより、シリーズAの累計調達額は総額12億円となった。

 調達資金は、3次元風計測装置(ドップラー・ライダー※1)による不審ドローン等の物体検知への応用を中心としたユースケース拡大に対応するための開発体制強化や、ドローン市場の先行拡大が見込まれる米国事業展開加速のための事業開発体制の拡充等に投資する予定だ。

※1 ドップラー効果による周波数の変移を観測することで、風況を測定するライダー。ドローンや空飛ぶクルマが安全・安心に運航・離着陸するために必要となる突風や乱気流の情報をリアルタイムに可視化する。

 風況のリアルタイム・3次元での把握・可視化に加え、不審ドローン等の物体検知への応用に対するニーズが急速に高まっており、ドローン前提社会における必須インフラとしての活用が期待されている。

 同社は、今回の金融機関グループ各社からの資本参画を契機として、地域金融機関等との連携を推進し、財務基盤の強化を目的とした融資等の金融支援や、幅広い金融機関ネットワークを活用した協業推進により事業展開の加速を図るとしている。

 メトロウェザーのドップラー・ライダーは、空気中に浮遊する微細なチリに、人体に無害な赤外線レーザーを照射し、その反射波を受信する事で、半径10~15km圏内の風向・風速を三次元で測定する事が可能。同技術は、2021年に米国のNASAに採用され、2023年度よりNASAのドローンテストフィールドに展開している。

 また、昨今のウクライナ情勢における戦場でのドローン活用事案の発生により、グローバルでの防衛体制の強化および民間レベルのセキュリティ意識が向上し、既存のソリューションでの対応が困難な不審ドローン等の検知に対するニーズが急速に高まっている。こうしたニーズに対応する新たなソリューションとして、ドップラー・ライダーの活用により新たな社会課題の解決を図るとしている。

各社コメント

池田泉州キャピタル投資部 部長 武川敏也 氏

 世の中が「ドローン前提社会」「エアモビリティー社会」に向かおうとしている一方、「空」のテクノロジー現場は風況に大きく左右され、常に不確定要素が付きまとっているというペインがあることは確かです。メトロウェザーの挑戦によって低空でも風況をカバーし「風」のペインを解決することが期待され、まさに未来イメージ図になくてはならない空の産業革命のキーファクターになると感じております。

「大阪・関西万博の空は我々が守る!」という情熱にも惹かれ、SDGs⑨「産業と技術革新の基盤をつくろう」の実現に貢献する社会的意義ある取り組みを、地域金融機関グループとしてネットワークも活用して支援させていただきたいと思っております。

岡三キャピタルパートナーズ代表取締役兼CEO 藤野 敦 氏/シニアアソシエイト 谷口広晃 氏

 ドローン前提社会の風況計測・予測インフラとなり得るメトロウェザーに出資させていただきました。メトロウェザーは小型・低コストのドップラー・ライダーを実現しており、昨今の気象問題や地政学リスクが高まる中で、国内のみならず米国引いては世界への展開が見込まれ、グローバルでのスタンダードを獲得できる企業であると考えております。今後の事業成長に貢献すべく、弊社としても支援してまいります。

りそなキャピタル代表取締役社長 相原直也 氏

 この度は、シリーズAエクステンションラウンド資金調達おめでとうございます。

 今回りそなキャピタルは、成長力のある新興企業へのリスクマネーのご提供を始め、資本政策の一環として発行される新株式や既発行株式の買取りなど、株式公開を指向されるお客様へのエクイティソリューションの提供を目的に関西みらい銀行と共同で設立した「関西みらい2号投資事業組合」を通じて、同行取引先のメトロウェザーへ投資を実行いたしました。

 メトロウェザーが開発製造する「ドップラー・ライダー」は、空気中に浮遊する微細なチリに人体に無害な赤外線レーザーを照射、信号処理技術を生かし半径10~15KM圏内の風向・風速を三次元で測定。レーダー探査が困難な低層にも強く、アンチドローンシステムへの応用等新たな分野への展開が期待されています。弊社は本件投資資金提供のみならず、関西みらい銀行をはじめとするりそなグループネットワークも活用した「ドップラー・ライダー」の普及販売等サポートを今後も継続してまいります。

京信ソーシャルキャピタル代表取締役 国本丈弘 氏

 弊社は京都信用金庫の子会社VCとして、社会課題の解決や地域活性化に資する事業を応援しております。

 急速に普及が進むドローンの活用により、山間地域や離島の物流問題など多くの社会問題が解決されると予測しています。一方で、ドローンが社会インフラとして成立するためには安全かつ正確な運航が必要であり、低層の風向・風速計測は必要不可欠な技術です。高い技術力に基づいた同社の製品の広がりにより、安心安全かつ便利な世の中が実現することを期待しております。