2023年8月7日、ロックガレッジは、スマートグラスを使った救助支援システム「3rd-EYE」の販売を開始したことを発表した。3rd-EYEにより、これまでの業務フローを維持したまま、より正確で直感的な現場活動でのコミュニケーションを実現する。

 同システムは、指揮本部が最前線の隊員が見ている光景をリアルタイムで確認したり、その位置を地図上で特定することができる。隊員は遠隔地から映像や指揮板を確認でき、指揮本部が示す目標地点を地図上で把握。従来は口頭で行っていた情報伝達をより正確でスピーディーに行える。

 さらにドローンを導入すると、上空から撮影した映像をAIがリアルタイムで解析し、要救助者の位置を速やかに地図上に表示する。これを指揮本部のタブレットや隊員のスマートグラスに共有することが可能となる。

 ドローンやXR(クロスリアリティ)、AIなどの技術が社会に広まりつつある一方、これらの製品を単独で利用した場合、現場指揮の効率化への寄与は限定的であった。そこで同社はこれらの技術を統合し、現場指揮に最適なシステムの構築を目指した。

 3rd-EYEは、ロックガレッジと消防本部が連携することで、業務フローを崩さないよう現場のニーズを取り入れたという。これにより現場指揮のフローを乱さずコミュニケーションの内容をアップグレードすることが可能となった。

 今後は3rd-EYEの普及を進めるとともに、消防組織の活動をより便利に行うことができるよう改良を進める予定だ。また、無線伝送の長距離化やさまざまな移動ロボットへの対応により、山岳遭難、点検、警備、害獣調査など他分野への応用を目指すとしている。

救助支援システム「3rd-EYE」主な機能

地図機能 (隊員位置・移動軌跡表示、ピン打ち機能)

 地図には隊員の現在位置がリアルタイム表示され、その行動を常時確認することができる。移動した軌跡が履歴として残るため、同じ場所を繰り返し捜索することがなくなり、より効率的な捜索活動が行える。ピン打ち機能を使用し、各隊員に対して目的地を明確に伝達可能。

スマートグラスへのAR表示

 スマートグラスは現在位置・方位を基準に、今見ている景色のどこに他隊員や目的地、要救助者がいるのかを分かりやすく表示する。この直感的な表示により、隊員は迅速に自身の状況をモニタリングできるだけでなく、隊員間の情報伝達ミスも無くせる。

AIによるドローン映像リアルタイム解析

 ドローンの映像をAIがリアルタイムで解析し、含まれる人影を自動的に検出する。この人影は即座に地図に反映され、タブレットやスマートグラスでその位置と画像を確認することができる。

映像共有機能

スマートグラスカメラ

 スマートグラスに搭載されたカメラで映像を撮影し、部隊内で共有。カメラのON/OFFは遠隔操作も可能なため、隊員は作業を中断せずに現場に集中できる。

ドローンカメラ (オプション)

 ドローンの飛行中は、そのカメラ映像を部隊内で共有可能。これらの映像は自動的にAIが処理し、人影を検出した箇所を強調する。また、ドローンの映像はロックガレッジ独自の経路で伝送するため、海外のサーバーに保存されることはない。

指揮本部タブレットカメラ

 指揮本部タブレットのカメラを使用することで、指揮本部に集約した情報を部隊内で共有することができる。この機能によって、指揮台の内容や地形図、図面、写真など音声では伝えにくかった情報を視覚的に伝達することが可能となる。(現状では、指揮本部タブレットは静止画のみ対応。)

スマートグラスを使った救助支援システム「3rd-EYE」