2023年9月19日、タマディックは、米国のJoby Aviation社が開発を進める電動の垂直離着陸機(eVTOL)の開発において、プロダクションプロトライン(試作機生産および量産検証)に用いられる「最終組立て用治具」の設計製作、「穴あけ加工用治具」「トリム加工用治具」「検査用治具」などの設計業務を受注したことを発表した。業務受注日は2021年6月、設計製作した治具は2022年9月に納品した。

 これらの治具は同機の生産ラインで使用され、特別耐空証明を取得し2023年6月にロールアウトされた機体をはじめ、現在も量産試作機の製作に用いられている。

最終組立て用治具

 同社が納品した「最終組立て用治具」は、主翼を胴体へ組付け(ねじ止め)する工程において、主翼を結合位置へ降下させる作業で使用される。航空機であるeVTOLは、機体のみならず機体製作で使用する治具においても航空宇宙産業品質マネジメントシステム(JIS Q 9100)に沿ったプロセス(ルール、手順)で開発を行うことが求められる。また、eVTOLには軽量・高比強度・高比剛性などの特性を有するCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が構造材料に用いられているため、JIS Q 9100の認証を取得しCFRP部品の生産技術(工法、治具設計)を有する航空・宇宙事業部が治具の設計を担当した。

 タマディックの米国法人が営業窓口としてJoby Aviation社との仕様打ち合わせ、交渉、見積書・スケジュール提出などを行い、連携して業務を進行してきたという。製作は日本国内で行い、カルフォルニア州マリーナのJoby Aviation社工場に納品した。

治具が使用されている現場

 Joby Aviation社が開発を進めるeVTOLは、5人乗り仕様(パイロット1名と乗客最大4名)。電動で低騒音かつ排気ガスがゼロであると同時に、1回の充電で最長100マイル(約160km)を飛行し、最高速度200マイル(約320km/h)の航行が可能。2025年には米国内での事業開始、以降は日本をはじめ国際的な事業展開を目指している。