2023年9月11日、あいおいニッセイ同和損害保険(以下、あいおいニッセイ同和損保)と、MS&ADインターリスク総研、法政大学大学院アーバンエアモビリティ研究所(以下、HUAM)は、2023年9月1日に空飛ぶクルマなどのアーバンエアモビリティの社会実装に向け、共同研究契約を締結したことを発表した。

 これにより3者は、空飛ぶクルマに関する総合的なリスクアセスメント(※1)や安全・安心なモビリティサービス事業の構築、次世代航空分野における人材育成に向けた共同研究を行うとしている。

※1 空飛ぶクルマの事業全般に関する「リスク洗出し・リスク評価・対策立案」

期待される空飛ぶクルマによる新たなエコシステム形成

 空飛ぶクルマは2025年に国内での社会実装が目指されており、2035年までに空飛ぶクルマ自体の市場規模は大阪関西エリアだけで約920億円、付随した経済波及効果は約1,530億円に上る(※2)など、空飛ぶクルマによる新たなエコシステムの形成が期待されている。一方、空飛ぶクルマの普及に先立ち、機体・離着陸場に関するリスクアセスメントや地域社会の受容性検証など解消すべき課題がある。

 こうした背景を踏まえ、次世代航空輸送の調査・研究・開発を行い、次世代航空人材の育成にも取り組むHUAM、顧客・地域・社会が求める新たな価値の提供に取り組むあいおいニッセイ同和損保、デジタル・データを活用したリスクマネジメントの高度化と領域拡大に取り組むMS&ADインターリスク総研の3者は共同研究を行うこととした。

※2 空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル(第9回ラウンドテーブル協議)資料より

共同研究の内容

 空飛ぶクルマを活用したモビリティサービスの構築に向けては、電車や車など地上のモビリティとの連携が重要となる。こうした「空と陸のシームレスなMaaS」に向け、空飛ぶクルマの利用者が移動する空・陸すべての移動プロセス(出発地から離着陸場・地上や海上も含めた2地点間飛行・離着陸場から目的地までのラストワンマイル等)において、自治体向け環境アセスメント(※3)評価も含めた総合的なリスクアセスメントと、空飛ぶクルマおよび他のモビリティサービスと連動したMaaS事業全体に関する保険・サービスの開発に向けた共同研究を行う。

 また、空飛ぶクルマの国産機体を用いた飛行データ分析(バッテリー性能劣化防止・燃費向上等の研究)や、研究成果を法政大学の次世代航空人材向け教育カリキュラムへ活用することも検討する。

※3 騒音等が離着陸場の周辺環境に及ぼす影響度の調査等

各者の役割

 あいおいニッセイ同和損保が全体を統括し、空飛ぶクルマを活用した新たな産業の創造(航空物流事業、エアタクシー事業、地域観光事業等)や社会課題解決(カーボンニュートラル、交通渋滞の緩和、移動利便性向上等)への貢献を目指す。

あいおいニッセイ同和損保
共同研究の統括
連携協定を締結している自治体へ実証実験を提案
飛行データ分析による空飛ぶクルマの運航ルート最適化・燃費向上等の研究
環境アセスメント、総合的リスクアセスメントメニューの開発
空と陸をシームレスにつなぐMaaS保険の開発

MS&ADインターリスク総研
空飛ぶクルマに対する社会受容性向上や円滑な運航の実現を目的とした空飛ぶクルマ専用の総合的リスクアセスメントメニューの開発
法政大学の航空パイロット向け教育プログラムへ還元

HUAM
次世代航空モビリティに関する専門知見の提供(環境アセスメント策定支援を含む)
実験機体を使用した飛行実験の実施、飛行データの提供
航路や天候等が空飛ぶクルマの飛行に与えるリスクに関する研究
共同研究結果の次世代航空人材育成への活用

協業取り組みイメージ