2023年8月30日、丸紅、エイチ・アイ・エス(以下、HIS)、みずほ銀行、東京海上日動火災保険(以下、東京海上日動)は、大阪府・大阪市・兵庫県が連携し公募した空飛ぶクルマの社会実装推進を目的とした補助事業に採択されたことを発表した。

 同事業では、大阪・関西万博開催後の関西エリアにおける空飛ぶクルマ運航事業の推進体制の整備・構築を目的として、関係者と協働して事業性検証を実施する。

 同事業を通じて事業性のある運航ルートを見極めることで、関西エリアにおける空飛ぶクルマの社会実装の早期実現を目指す。

 検証調査内容は、関西エリアにおける需要分析、候補ルートごとの運航条件の調査と最適な充電・バッテリー管理方法に関する調査。対象は①~⑩の内、2エリア間を結ぶルートとする。

① 夢洲エリア
② 大阪市街地(森ノ宮近辺)
③ 神戸市街地
④ 尼崎市街地
⑤ 関西国際空港エリア
⑥ 神戸空港エリア
⑦ 但馬エリア(竹田城・城崎温泉・但馬空港)
⑧ 淡路エリア
⑨ 高野山エリア
⑩ 瀬戸内エリア(小豆島・直島・福山)

検証調査エリア(政府統計の総合窓口(e-Stat)を加工してリリース元が作成)
各社の役割
丸紅プロジェクトマネジメント、検証調査、事業計画精査・評価
HIS空飛ぶクルマのチケット販売に係る料金および販促アイデアなどの精査
みずほ銀行空飛ぶクルマの減価償却費や機体保有に係る料金の精査
東京海上日動空飛ぶクルマの日本国内の運航における航空機保険の設計

各社の空飛ぶクルマ領域における取り組み

・丸紅

 空飛ぶクルマを活用したサービスの認知度および社会受容性の向上を目指し、同社グループが提携する英国Vertical Aerospace Group Ltd.ならびに米国LIFT AIRCRAFT INC.と、空飛ぶクルマの運航事業実現に向けた事業性評価を行うほか、各種調査を実施している。
 2025年の大阪・関西万博では空飛ぶクルマ運航事業者に選定されていることに加え、ヘリコプターを用いた空飛ぶクルマ模擬飛行ツアーや、空飛ぶクルマの実機を用いた有人実証飛行を実施している。

・HIS

 総合旅行会社として、旅行者のニーズをふまえて本事業における検証のすり合わせと、空飛ぶクルマの運航ルートの提案、市場における適正価格の調査と分析を実施する。商用利用開始後は、同社の海外ネットワークを通じ、日本国内だけでなく訪日外国人に向けて商品造成・販売を行う。
 地方活性化の取り組みの1つとして、自治体や事業者と連携し、観光地や都市間の移動を短縮することで新たな旅の可能性の提供を目指す。

・みずほ銀行

 金融領域の知見を生かし、顧客の事業戦略における戦略パートナーとして金融を超える新たな価値の創造を目指している。モビリティ領域では、テクノロジー等に関する産業知見、事業開発・システム開発のコンサルティングノウハウにより、次世代モビリティの社会実装に向けた取り組みを実施している。

・東京海上日動

 2019年に空飛ぶクルマを開発中の企業に対して保険提供を開始。三重県内での空飛ぶクルマの実用化に向けた包括協定の締結や、大阪府内での空飛ぶクルマの啓発活動・事業性調査の実施、大阪ベイエリアでの航路実現性調査事業への参加など、空飛ぶクルマの実現に向けさまざまな事業者や自治体と連携した取り組みを進めている。経済産業省・国土交通省が共同で主催する「空の移動革命に向けた官民協議会」や大阪府主催の「空の移動革命社会実装大阪ラウンドテーブル」にも参画している。