2023年9月11日、KDDIとKDDIスマートドローンは、スーパーシティ型国家戦略特区に指定されている茨城県つくば市の協力のもと、内閣府から採択された「先端的サービスの開発・構築や先端的サービス実装のためのデータ連携等に関する調査事業」の取り組みを開始することを発表した。
ドローン飛行に関する現行制度では、レベル4飛行(有人地帯における補助者なし目視外飛行)は低人口密度環境での飛行のみが認められており、都市部ではレベル4飛行が可能なエリアは極めて限定的だ。この取り組みでは、スマートフォンの位置情報を基にした人流データを活用することで、人口密度の低いルートを選定してドローンのレベル4飛行が可能となるような制度改革の提案、および輸送サービス実装に向けたビジネスモデルなどを検討し、これらを基に将来的にサービス化を目指すとしている。
両社は2022年度、内閣府から受託した「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」の一環として、つくば市で病院の屋上から検査機関までドローンでPCR検体を模した物資の輸送実証を行い、品質面や輸送効率などを検証した。また、ドローンの「空の道」をXRコンテンツで示し、ドローンを視覚的に認識できる仕組みを構築することで地域住民の認知獲得および受容性向上に取り組んだ。
2023年度は、人流データの活用による安全な飛行ルートの選定や地域住民へのプッシュ通知など、地上リスクの低減策を検証し、将来的に安心・安全なドローン輸送サービスの実現を目指す。
取り組みの概要
「都市部におけるドローン物流の早期実装」に向けた制度改革の提案
2022年12月に施行された改正航空法によりドローンのレベル4飛行が解禁された。しかし現行制度では、「2022年12月5日から施行の新制度開始当初に想定されるカテゴリーⅢ(※1)飛行は、低人口密度環境での目視内/目視外飛行に該当とする」とされており、人口密集環境での目視外飛行については認められていない。
KDDIが保有するスマートフォンのGPS情報からさらに細分化された時間軸での人流データ(※2)を活用することで、飛行ルートにおける地上リスクの定量的な評価を行い、現行制度上の人口密集環境においても低人口密度環境と判断できるエリアでレベル4飛行を可能とするための制度改革を提案する。
※1 カテゴリーⅢ:特定飛行のうち、無人航空機の飛行経路下において立入管理措置を講じないで行う飛行。
※2 同意を得たauスマートフォンの端末から取得。
地域住民へのドローン飛行時のプッシュ通知によるリスク低減
生活圏内におけるドローンの上空飛行は、万が一の落下リスクなどを不安に感じる住民の存在も想定される。スマートフォンのアプリを通じたプッシュ型通知などの仕組みを構築し、人流データを基に、ドローンが飛行する経路および運航情報を即時に第三者へ通知することで、ドローンの社会実装に向けた地域住民の認知獲得および理解浸透に取り組む。
各者の役割
KDDI | 事業全体の企画・統括 委託事業管理 人流データの解析 |
KDDIスマートドローン | プロジェクト支援 ドローン実証および制度化に向けた推進 |
つくば市(協力) | 事業への助言 社会実装に向けた官学民連携の推進 住民との合意形成 |
筑波大学(協力) | 事業への助言 社会実装に向けた官学民連携の推進 |
筑波大学病院(協力) | 事業への助言 輸送オペレーションへの協力 |
つくば i-Laboratory(協力) | 事業への助言 輸送オペレーションへの協力 |
LSIメディエンス(協力) | 事業への助言 輸送オペレーションへの協力 |