2023年8月29日、武田薬品工業(以下、武田薬品)は、光工場(山口県光市)の敷地内において夜間の警備・点検・防災を目的としたドローンによる自動巡回を、同月より実用化したことを発表した。人の目では視認が難しい建物内の高熱化を感知し、火災時の火元も特定できる。

 また同社は、光地区消防組合と災害時におけるドローンによる活動支援を含めた「消防応援協定書」の再締結を予定している。

自動巡回へ飛び立つドローン

夜間の警備・点検・防災を目的としたドローンによる自動巡回

 同社が実用化したドローンは、車よりも環境への負荷が少ない手段として、人による夜間の巡回を補強する。事前にプログラムしたルートに沿って自動飛行し、危険物取り扱い施設の上空を巡回する。

 全球測位衛星システム(GNSS)および工場内に設置した基地局からの位置情報を受信することで、1cm単位での飛行設定が可能。夜間撮影に適し、200倍ズームが可能な高感度耐性カメラと赤外線カメラにより、人が視認できない建物内の高熱化も感知することで、いち早く火災を発見、対処することができる。

 火災が起きた際は、煙などで視界が不良になっても火元を特定可能。ドローンの自動巡回中に不審なものや状況を認めた場合には、訓練を受け資格を有した警備担当がドローンを手動操作してより詳細な状況を確認し、必要な対応を検討する。なお、ドローンから送られる映像は、視聴権限を付与されたPCやタブレットを使ってどこからでも確認することができる。

 同社は今後、異常事態の検出や人への警告にAIを活用していくことも視野に入れ、ドローン巡回から得られるデータをサプライヤーと積極的に共有し、ドローンのさらなる技術開発を支援していくとしている。

災害時におけるドローンによる活動支援

 さらに武田薬品は、光地区消防組合と災害時におけるドローンによる活動支援について、現在締結している「消防応援協定書」に追加する見直しを行い、再締結する予定だ。具体的には、災害発生後の捜索や被災状況の確認などのために、光地区消防組合からの要請に応じて武田薬品からドローンを貸与するとともに操縦技術者を派遣する。

ドローンオペレーターと武田薬品担当者