2023年8月22日、テラドローンは、2023年7月3日にベルギーに本社を置くグループ会社のUnifly社(以下、ユニフライ)の株式取得を行い、株式保有率が51.0%となり、子会社化したことを発表した。事業戦略の統合で、グローバルにおけるドローンや空飛ぶクルマの運航管理事業のさらなる拡大を目指し、空のインフラを構築していくとしている。

 テラドローンは、業界全体の発展を支えるインフラとしてUTM(ドローン用の運航管理システム)の領域を重要視しており、2016年にユニフライへの出資を行った。当時すでにユニフライは欧州各国のANSP(航空管制サービスプロバイダー)を顧客に持ち、先駆的な取り組みを行っていたという。

 現在ユニフライは、カナダ、スペイン、ドイツ、サウジアラビアなど8カ国にANSP向けのUTMシステムを提供しており、この分野におけるリーディングカンパニーとなっている。また、複数の国において国全体に自動承認を含むUTMオペレーションを提供する企業として評価されている。

 近年、ドローンや空飛ぶクルマの利活用は、物流、警備、災害対応など、多岐にわたる分野で注目されており、運航管理と安全対策の重要性が高まっている。この動向に対応するため、テラドローンはユニフライを子会社化し、事業戦略の統合をさらに進めることを決定した。

 今後、ユニフライが世界各地で蓄積してきたUTMの知見や先行事例を日本のUTM事業に活用し、政府や公的機関とも連携しながら、日本のUTM事業の活性化に寄与するとしている。特にユニフライの導入先であるカナダのANSP、Nav Canadaが実施している飛行従量課金モデルは、日本おいて新たな空のインフラを構築するための重要な参考事例になるとしている。

各社コメント

テラドローン 代表取締役社長 徳重徹氏

 テラドローンはドローン産業の黎明期からUTMの可能性を捉え、ユニフライ社との関係を強化しました。ユニフライ社はUTMのテクノロジーを提供する会社としては、国家UTM導入数がトップであり、業界内で圧倒的な実績を誇ります。今回、その関係性を一層深め、ユニフライ社を子会社化することで、我々は彼らの高度な技術と豊富な経験を活かし、物流、警備、災害対応などの重要な領域におけるドローンの利活用を安全かつ効率的に推進します。この統合は、我々のビジョンが現実に一歩近づいたことを示しています。

ユニフライ CEO Andres Van Swalm氏

 テラドローンとの強固なパートナーシップは、ドローン業界を牽引する上では欠かせないと思っています。2016年より8年間、テラドローンとユニフライは連携をしてきましたが、グローバルで共にドローン及びUTMを引っ張っていると自負しています。私たちは両社が共にUTMを推進してきた経験を通じて、これまで以上に密接な関係を築く新たなステップを踏み出しました。この統合は、私たちのビジョンを現実に近づけ、さらに高まるドローン需要に対応する基盤を確立します。私は元航空管制官として、既存の航空管制に携わっていた経験がありますが、UTMのようなテクノロジーが今後増えていくドローンや空飛ぶクルマの運航管理には必須であると確信しています。