2023年7月6日、NEXT DELIVERYとKDDIスマートドローンは、現在NEXT DELIVERYが開発を進めている「SkyHubTMS」に、KDDIスマートドローンの運航管理システムを連携すると発表した。

 新スマート物流システムであるSkyHubTMSは、種類の異なるさまざまな荷物の管理を一元化し、利用可能かつ最適な配送リソースに荷物を割り当てることができる。荷物の動きの可視化・データ化を実現することで、地域物流を効率化する。

 KDDIスマートドローンの運航管理システムは、同社が開発するモバイル通信を用いた遠隔監視・制御により、ドローンの目視外自律飛行を実現する。ドローンの飛行状況のリアルタイムでの監視や、緊急着陸などの遠隔操作などを実行することができる。

 今回新たにマルチモーダル機能などを搭載し、ドローン配送時はKDDIスマートドローンの運航管理システムと連携することにより、SkyHubTMSでドローンの運航計画の自動策定や運航状況のリアルタイム確認などが行えるようになった。

SkyHubTMS上でトラックとドローンのマルチモーダル機能が動作している画面イメージ
KDDIスマートドローンの運航管理システム画面
SkyHubTMS上でマルチモーダル機能が動作している様子

 SkyHubTMSは、エアロネクストとセイノーホールディングスが共同開発した新スマート物流SkyHubの全国展開においてコアとなるシステムで、2022年10月にネバーマイルと業務提携契約を締結し、共同で開発を進めてきた。

 SkyHubは、既存物流とドローン物流をつなぐオープンかつ標準化された新スマート物流のプラットフォーム。陸上物流とドローン物流との接続点に設置されるドローンデポを拠点として、SkyHubアプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを提供する。

 SkyHubTMSは、配送する荷物を一意のIDで管理。配送可能エリア内の利用可能な配送リソースと、配送リソースごとに利用可能なスロット、配送リソースの所在と移動を管理する。荷物は重量、配達・集荷場所、配達・集荷希望時間で評価。配送リソースは、陸送・空送、配送完了までのリードタイム、積載可能容量・重量で評価する。荷物と配送リソースの評価をもとに、利用可能かつ最適な配送リソースを荷物に割り当てる。

「SkyHubTMS」主な機能

マルチモーダル機能

 荷物を緊急度、配送距離、重量、大きさ、内容などで分類して最適な配送手段を選別し、配送管理する機能。一般的なTMSではトラックなど単一の配送手段のみの管理であるが、SkyHubTMSはドローンなどの配送手段を組み合わせて管理する。これにより、配達効率の悪い荷物をトラックの配送ルートから外し、その荷物はドローンに任せることで地域配送全体を効率化する。

 特にドローン配送においては、KDDIスマートドローンの運航管理システムと連携し、SkyHubTMSの画面上で複数のドローンが飛行した軌跡を全て確認することができる。また、ドローンが荷物配送先に着陸して荷物を切り離し、再離陸というアクションで注文のステータスを完了にすることができる。

マルチロジック機能

 配送員の経験などによって配送ルートを指定するロジックを使い分ける機能。オプティマインドのラストワンマイル配送におけるクラウド型自動配車サービスLoogia(ルージア)で、注文や車両を考慮しながら最適な車両、順番で荷物を割り付ける。Loogiaの自動配送ルート指定機能を活用することで経験の少ない配送員でも最適なルートで配送ができ、経験豊富な配送員はGoogleを用いることで道路の混雑状況や駐車位置などのデータ化できないさまざまな知見を生かし配送ルートを自由に設定可能。

「SkyHubTMS」上でマルチロジック機能が動作している画面イメージ

 マルチモーダル機能などを搭載したSkyHubTMSは、新スマート物流SkyHubを社会実装している山梨県小菅村、北海道上士幌町、福井県敦賀市、茨城県境町、千葉県勝浦市に順次投入する。また、トライアルパートナーである地域運送会社ともSkyHubTMSを通じてマルチロジック機能、マルチモーダル機能の実証実験を実施する予定だという。

 ドローン運航システムを連携させたSkyHubTMSにより「ドローン活用や公共交通の貨客混載などのマルチモーダル最適化」「地域物流全体の配送最適化」「持続可能な地域配送体制の構築」を実現し、新スマート物流SkyHubの社会実装を加速させる方針だ。