2023年7月19日、ヒロホールディングスは、ワイズプランニングと協業で、世界的重要文化財を完全実写で3DCG化し、傷ひとつまで再現できる永久デジタル保存サービスを開始した。企画・撮影・3DCG化までをワンストップで提供する。

 貴重な文化遺産や重要文化財をデジタル形式で保存・保護し、将来の世代に伝える取り組みとして、デジタルアーカイブ化が広まっている。デジタルアーカイブは1990年代に生まれた和製英語で、英語では「Digital Cultural Heritage(Cultural:文化的な、Heritage:遺産)」などと呼ばれている。伝統的な保存方法だけでは限られた人々にしかアクセスできない文化財を、デジタル技術を活用することでより多くの人々に公開し、文化の継承と共有を促進する。

 また、有形文化財の中には崩壊や焼失してしまうものが多数あることから、後世に遺産を伝え、有事には復元できるようにするためのリスクヘッジとして、デジタルアーカイブ化は非常に有効だという。

永久デジタル保存サービス

外観を俯瞰的に撮影し、有事に活用できるデータとして保存
(フォトグラメトリー×4Kドローン撮影×外観)

 フォトグラメトリー(写真測量法)は、被写体をあらゆる角度から撮影し、複数の写真から立体的な情報を抽出する技術。ドローンで撮影した複数枚の写真・動画を活用し、建物の外観を3DCG化する。撮影が困難であった屋根の上も、上空から撮影することができる。

 建物の外観をドローンで撮影することで、より美しい映像や詳細な情報を収集し、保護・継承・普及を行う。また、公開することで鑑賞者に新たな視覚体験を提供し、文化遺産の魅力をより広く伝えることができる。


重要文化財を、完全実写で永久デジタル保存
(点群データ×最新型360°カメラ×屋内)

 点群とは、レーザースキャンや写真測位などの技術を使用して、物体や建造物の表面上の点の集合を捉える手法。点群データは、重要文化財の詳細な形状や構造をデータで残し、再現するために活用される。

 撮影には高性能かつ高精度な測距技術であるLiDARを使った、最新型の360°カメラを使用する。精度は10mで±20mmと非常に高いため誤差が少なく、より再現性の高い撮影ができる。広範な視野を捉え、鑑賞者に臨場感のある体験を提供する。屋外から屋内に入っていくような体験ができる撮影も可能。


手のひらサイズの小物でも3DCGで再現
(フォトグラメトリー×4Kカメラ×展示物)

 フォトグラメトリーの技術を活用し、展示物など小さなサイズの撮影も可能。文化財の撮影にはその価値や重要性を正確に伝えることが求められるため、詳細な形状や表面の細部、細かな傷まで再現ができるフォトグラメトリーは、文化財の詳細な3Dモデルを生成するための有用な手法である。撮影した遺産をデータとして保存することで、再現が可能になるだけでなく、研究や解析、教育のための資料を提供する手段として活用される。