2023年7月21日、米国カリフォルニアに本社を置くASKAは、公道を走ることができる4人乗り電動垂直離着陸機「ASKA A5」について、連邦航空局(FAA)の型式証明手続きを正式に開始したことを発表した。

 同社のフルスケール試作機は FAAによる認証書(COA)と特別耐空証明を取得し、飛行試験を開始した。同試作機は米国DMV(自動車管理局)よりナンバープレートを取得し、公道での300マイル以上(約480km)の走行試験も実施している。

 ASKA A5は1機78万9000ドル(1ドル140円の場合、約1億1000万円)で、2026年の商業化を目指している。予約注文受付を開始しており、個人や企業、医療関係団体より5000万ドル(同70億円)以上の予約を受けているという。

走行テスト中の「ASKA A5」
FAAより特別耐空証明を受け取るASKA創業者

 2023年8月2日、同社はASKA A5のフルスケール実機が飛行テストを開始したことを発表。テザーケーブルで地上につないだ状態で垂直離陸し、安定したホバリングを30秒ほど行った。

 4人乗り(パイロット1人、乗客3人)のASKA A5はヘリコプターのように垂直に離陸し、小型飛行機のように飛行する。翼を格納するとSUV程の大きさになり、公道を走るとともに通常の駐車場に機体を駐車できる。 飛行・走行とも電動であるが、バッテリーシステムに加えガソリンエンジンをレンジエクステンダーとして搭載して飛行中にバッテリーを充電する、いわゆるプラグインハイブリッドを採用している。

 飛行航続距離は250マイル(約400km)、最高飛行速度は時速150マイル(時速約240km)。

飛行場でテストを行う「ASKA A5」

ASKA A5 主な安全性能
グライディング可能な主翼
飛行用の6つの独立したモーターシステム
FAAの安全基準を満たす十分な予備飛行時間
緊急着陸用パラシュート

 垂直離着陸(VTOL)だけでなく、タイヤに搭載したインホイールモーターとプロペラの推力および大きな主翼を利用し、エネルギー消費を大幅に節約できる滑走路からの離着陸も可能。

 公道走行が可能なASKA A5は、充電ステーションや駐機スペースを利用できるほか、地元シリコンバレーの公道、駐車場、空港においてオペレーションのコンセプトを検証している。

シリコンバレーのホテルの前に駐車する「ASKA A5」
【参考】「ASKA A5」プロトタイプのフィールドテスト・システムテストの様子(ASKA)