2023年7月24日、SkyDriveは2022年に引き続き、2025年の大阪・関西万博開催を見据えた空飛ぶクルマの社会実装に向けて、大阪ベイエリアにおける離着陸ポートや飛行経路の実現性を検証することを発表した。
同社と大阪公立大学、大林組、関西電力、近鉄グループホールディングス、グロービング(代表企業)、大日本印刷、東京海上日動火災保険、日本工営、三菱電機が実施主体となり、大阪府、大阪市の協力のもと実施する。なお同事業は、内閣府の「先端的サービスの開発・構築や先端的サービス実装のためのデータ連携等に関する調査事業」に採択されている。
事業開始の背景
2030年頃に実現される未来社会を先行実現するエリア「スーパーシティ型国家戦略特区」のひとつとして、2022年4月に大阪市域が区域指定された。大阪府・大阪市が作成する大阪スーパーシティ全体計画では、「ストレスフリーな最適移動社会」をモビリティ分野のビジョンに掲げ、2025年の大阪・関西万博後の展開として、日常での空飛ぶクルマの普及を目指している。
空飛ぶクルマの開発を行うSkyDriveは、2019年に有人飛行に成功。2025年の大阪・関西万博開催時の、大阪ベイエリアにおけるエアタクシーサービスの実現を目指し、現在3人乗り機体「SkyDrive式SD-05型機(SKYDRIVE)」を開発している。
同社はサービス実現のため、2021年9月に大阪府、大阪市と空飛ぶクルマの実現に向けた連携協定を締結し、大林組、関西電力、近鉄グループホールディングス、東京海上日動火災保険と共同で、同年、地域住民の理解促進と社会受容性を高めるための「大阪ベイエリアにおける、空飛ぶクルマによるエアタクシー事業性調査」、2022年には「大阪府内における空飛ぶクルマのある未来像啓発」を実施している。
今後、官民学が連携して離着陸ポートの設置や飛行経路の実現を検証し、空飛ぶクルマの社会実装の実現に向けて事業を進めるとしている。
調査事業概要
事業名称
空飛ぶクルマの大阪ベイエリア航路実現性の調査
事業実施エリア
大阪府大阪市(大阪ベイエリアおよび、他の有望なポート候補地)
事業内容
1. 大阪・関西万博時の2地点間運航実現に向け、大阪ベイエリアの離着陸ポート候補地について、必要となるインフラや飛行航路の検証を行う。
2. 大阪・関西万博後の商用運航の拡大を見据え、その他の有望な離着陸ポート候補地の検討と、ポートの設置に当たっての制度上の課題等について検証を行う。
関連する規制改革事項
1. 空飛ぶクルマの離着陸ポートの設置に向けた制度整備(航空法第79条、同法施行規則第2条、場外離着陸許可の事務処理基準等)
2. 空飛ぶクルマの機体や運航の安全基準に関する制度整備(航空法第11条、第63条、同法施行規則第153条等)
社会実装に向けたスケジュール
2022年度 ・ベイエリアにおける離着陸ポート候補地と航路実現性の概要検証・評価 |
2023年度 ・万博時の2地点間運航に向けたベイエリアの離着陸ポートに必要なインフラや飛行航路等の検討 ・その他の有望なポート候補地の検討と、ポートの設置に当たっての制度上の課題等について検証 等 |
2024年度 ・離着陸ポートの設置、運航支援体制・拠点、データ基盤等の検討・整備 ・資金調達スキームの検討・構築 ・デモフライト 等 |
2025年度 ・大阪・関西万博における空飛ぶクルマの飛行実現 |
2026年度~ ・空飛ぶクルマの商用運航の拡大 |
共同実施体制
グロービング | 全体統括・調査実行(ポート・航路関連) |
SkyDrive | 調査実行(機体・運航関連) |
大阪公立大学 | 調査実行(ポート・航路関連) |
近鉄グループホールディングス | 調査実行(ポート関連) |
東京海上日動火災保険 | 調査実行(リスクアセスメント関連) |
日本工営 | 調査実行(ポート関連) |
三菱電機 | アドバイザリ・調査支援(気象調査関連) |
大林組 | アドバイザリ・調査支援(ポート建設関連) |
関西電力 | アドバイザリ・調査支援(充電インフラ関連) |
大日本印刷 | アドバイザリ・調査支援(ポート展示・PR関連) |
大阪府 | 協力 |
大阪市 | 協力 |
2022年の調査結果
2022年における空飛ぶクルマの大阪ベイエリア航路実現性の調査により、天保山・中央突堤エリアは、複数の駐機場や充電設備などを備えたハブポートをコストを抑えて整備できる可能性があることがわかった。駅や周辺の集客核施設との連携により、他候補地と比べて事業採算性が期待できることや水面上に飛行経路をとりやすい一方、敷地形状などによるレイアウト上の制約があることなどが確認できた。そのほか法規制課題やリスクアセスメント、桜島・安治川周辺エリアの調査を実施した。
▼参照:令和4年度 先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業報告書(概要版)P34~40