2023年7月25日、愛知県は、薬品卸業者から薬局店舗等への医薬品等配送について、トラック配送をドローンが代替するビジネスモデルを想定した実証実験を豊川市内において実施すると発表した。
「2024年問題」と呼ばれる労働時間制約により労働力不足が危惧される物流分野を対象として実施するもので、実証実験では耐候性に優れた全天候型ドローンを活用し、河川上空を航路としたDID(人口集中)地区で飛行を行う。また、1対多運航(1人の操縦者が複数機体を運航すること)に対応する運航管理システムを使い、同時に複数のドローンで異なる医療機関に配送を行う。
愛知県は、あいちロボット産業クラスター推進協議会を中心に、ドローンの開発支援や社会実装を目指した実証実験の実施など、ドローンの産業活用に向けた取り組みを推進している。2023年度は「レベル4飛行を用いた新ビジネスの実現」に向けた課題を明らかにするとともに、その解決に資する新技術を活用した先進的な実証実験を行うことで、新たなビジネスモデルの創出・発信を目指す。併せて、活用を担う人材や、製造を担うエンジニアなどを育成するため、人材育成講座を開催するとしている。
使用機体(予定)
プロドローン製「PD6B-Type3」。保護性能企画IP44をクリアした、ドローン配送の本格運用機体。
スペック | |
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機体サイズ | 2,181mm×2,398mm |
推奨ペイロード(最大積載量) | 20kg |
飛行時間 | 20分(4.9kg搭載時) |
1対多運航に対応する運航管理システム
KDDIスマートドローンが開発を進める運航管理システム。1人のオペレーターが複数の機体の操作を行う。
事業実施体制
名古屋鉄道に事業委託し、同社を幹事会社とする企業グループで事業を実施する。
名古屋鉄道 | 事業総括、関係者調整等 |
プロドローン | 機体開発・運航 |
KDDIスマートドローン | 通信、飛行制御システム |
大同大学 | 技術協力、アドバイザー |
グリーンサービス | 医薬品配送における実証協力 |
中北薬品 | 医薬品管理における実証協力 |
サーラ物流 | 実証実験協力 |
豊川市 | 実証実験協力 |
東三河ドローン・リバー構想推進協議会(※) | 実証実験協力 |
※ 豊川市、新城市を事務局としたドローン・エアモビリティに関する官民協議会。
今後のスケジュール
2023年8月上旬 | 実証実験内容検討・技術面でのルート検証 |
2023年8月~9月 | テストフライト実施 |
2023年10月~11月 | 実証実験本番 |
2023年12月~2024年1月 | 実証実験結果の分析、追加調査、ビジネスモデルの作成 |
2024年2月~3月 | 成果発表会 |
人材育成講座
開催日時、参加者募集については、詳細が決まり次第発表する。
【テーマ1】ドローンを活用したインフラ点検講座
今後の市場拡大が期待されるインフラ点検について、全体像や求められる成果物の実態理解、点検に求められる撮影技術の訓練等を通じて担い手の育成を目指す。
講師 | 三信建材工業 開発室室長 石田 晃啓 氏 |
座学(講演、質疑) | ・橋梁基礎、点検の全体像 ・画像解析の流れ 等 |
実技 | ・機体・機材実習 ・点検飛行実習 等 |
【テーマ2】レベル4飛行制度・一等実地試験(終了審査)の理解促進講座
レベル4飛行(有人地帯における目視外飛行)を行うには、一等無人航空機操縦士資格の取得が必要となる。レベル4飛行制度および一等実地試験について理解を深め、一等資格取得の契機にしてもらう。
講師 | 名鉄ドローンアカデミー講師 田村 和大 氏 |
座学(講演、質疑) | ・レベル4飛行制度、実地試験の概要 |
実技(実技体験) | ・一等ライセンス実地模擬試験 ・試験合格に向けた訓練 等 |
【テーマ3】ドローンエンジニア育成講座
ドローン企業が求めているドローン製造のスキルを持つ人材が不足しており、エンジニア育成は重要な課題になっている。実際にドローンの組み立てから飛行までを行ってもらい、ドローンに対する理解度向上を目指す。
講師 | 大同大学講師 橋口 宏衛 氏 |
座学(講演、質疑) | ・ドローンの仕組み、制御 ・フライトコントローラーの仕組み、種類 等 |
実技 | ・機体の組み立て、プログラムの書込み ・飛行テスト 等 |