2023年8月1日、メトロウェザーは、シリーズAエクステンションラウンドとして、新規投資家であるNTTファイナンス、既存投資家のDRONE FUNDおよびMOL PLUSの計3社を引受先とする第三者割当増資により、総額3.6億円の資金調達を実施したことを発表した。これにより、シリーズAの累計調達額は総額10.6億円となる。

 ドローンや空飛ぶクルマが安全に運航・離着陸するための必須情報である突風や乱気流をリアルタイムに可視化する3次元風計測装置(ドップラー・ライダー)の開発・製造を行うメトロウェザーは、今回の調達資金を、ドップラー・ライダーによる不審ドローン等の物体検知への応用を中心としたユースケース拡大に対応するための開発体制の強化や、ドローン市場の先行拡大が見込まれる米国事業展開の加速のための事業開発体制の拡充等に投資する予定だ。

 また、今回のNTTファイナンスからの資本参画を契機として、NTTグループとの協業を推進し、従来からのNTTコミュニケーションズとの風況データ提供事業に留まらない幅広い分野での事業連携の強化を図るとしている。

 メトロウェザーのドップラー・ライダーは、空気中に浮遊する微細なチリに、人体に無害な赤外線レーザーを照射し、その反射波を受信することで、半径10~15km圏内の風向・風速を3次元で測定する。これらの技術は2021年に米国のNASAに採用され、2023年度よりNASAのドローンテストフィールドに展開している。

 また、昨今のウクライナ情勢における戦場でのドローン活用事案の発生により、グローバルでの防衛体制の強化および民間レベルのセキュリティ意識が向上し、既存のソリューションでの対応が困難な不審ドローン等の検知に対するニーズが急速に高まっているという。

引受先各社のコメント

NTTファイナンス 取締役 橋本誠一 氏

 この度はシリーズAエクステンションラウンドの資金調達おめでとうございます。

 メトロウェザーの提供する風況観測事業は、今後ドローン市場の拡大が期待される中で、ドローンや空飛ぶクルマの安全運航等に大きく寄与することができると感じております。

 今回のファイナンスを通じ、これまで以上にメトロウェザーとの取り組みを深化させ、NTTコミュニケーションズと共同で行っている風況プラットフォームの提供や実証実験についても後押しさせていただきたいと考えております。

 パートナーの皆様とも力を合わせながら、メトロウェザーの研究開発・事業展開をサポートいたします。『世界の風を制する』という貴社の想いに賛同するとともに、全力で応援いたします!

MOL PLUS 代表 阪本拓也 氏

『風況予測』は、『海運/海洋事業/港湾』に携わる商船三井グループとして、大変関心の高い領域です。具体事例として、今回の出資に際し商船三井の『ウインドハンタープロジェクト』においてドップラー・ライダーを用いた風況予測の実証実験を共同で取り組ませていただいております。

 今回の追加ご出資で改めて、『世界の風を制する』メトロウェザーの取り組みに、更なる『追い風』を吹かします!!

DRONE FUND 共同代表パートナー ⼤前創希 氏

 メトロウェザーへの投資を意思決定した際には、ドローン・エアモビリティ前提社会において安定稼働の礎となる『風況予測』の空路における精度向上を重要視して参画しました。

 今回新たにアンチドローン領域においてもドップラー・ライダー技術を用いた課題解決に到れる可能性が出てきたことは、極めて重要な発展の可能性を秘めていると考えております。ロシアによるウクライナ侵略によって、一般に販売されているドローンであっても兵器になりうる事が証明された今日において、どのように不審ドローンを検知して空の安全を確認するのかという課題は、否が応でも顕在化しました。

 メトロウェザーの基礎技術が世界の空の安全に寄与することを目指し、今後も支援を進めてまいります。