2023年8月2日、ダッソー・システムズは、無人航空機システム開発を専門とするイタリアのスタートアップ企業Sky Eye Systemsが、同社の軽量ドローン「Rapier X-25」の型式証明のプロセス管理に3DEXPERIENCEプラットフォーム・オン・クラウドを使用していることを発表した。

 同機は当該重量のドローンに対するイタリア政府の最上位の安全認証を獲得しており、制限無く飛行することが許可されるミニクラス唯一のシステムとなっている。

 同社は3DEXPERIENCEプラットフォームを基盤とする「Reinvent the Sky」インダストリー・ソリューション・エクスペリエンスを実装し、従来の設計データをクラウドベース環境に接続した。同環境では、設計者やエンジニアが開発のあらゆる面に関するリアルタイムでのビューを利用して、同じバーチャルツインに対して同時に作業することができる。

 3DEXPERIENCEプラットフォーム・オン・クラウドは、サーバー・インフラストラクチャの確立や多額な事前投資の必要がなく、迅速に開発を進めることができる。また、データはシームレスに流れるため、チームはワークフローや厳格な産業規格に準拠するための設計変更に関連する履歴の管理・表示が可能になった。

Reinvent The Sky - Dassault Systèmes

 市民保護、汚染管理、土地監視などの用途に向けて設計されたRapier X-25の重量は最大25kg、10時間の航続距離、90kmのデータリンク範囲、高い搭載センサーペイロード性能を持つ。同機はイタリア国防省航空装備総局(DAAA)が定める耐空性と軍事活動に関する厳格な要件に適合しており、これはNATOの承認対象でもあるため、同機の承認範囲は欧州連合内に拡大することができる。

各社コメント

Sky Eye Systems チーフコマーシャルオフィサー フィリッポ・カラーレ氏

 当社のチームはすでに、3DEXPERIENCEプラットフォームで仕事をするメリットを感じています。これが私たちの現在、そして将来のニーズに応えられることは明白です。すでにRapier X-25は型式証明を取得したので、技術の一部を共有するその他のモデルを開発するために3DEXPERIENCEプラットフォームを使用し、Rapierの構成に加えた変更がこれらのモデルに確実に引き継がれるようにしています。クラウドの利用により、市場投入までの時間を短縮し、特定用途向けの新システムの開発をスピードアップできます。製品開発時間を少なくとも30%節約して、重要な節目のスケジュールを守ることを目標としています。

ダッソー・システムズ 航空宇宙・防衛産業担当バイス・プレジデント デビッド・ジグラー氏

 3DEXPERIENCEプラットフォーム・オン・クラウドは、企業がコンセプト段階から型式証明へ至る製品ライフサイクルをスピードアップし、決定的な先行者利益を得る助けとなります。Sky Eye Systemsは3年間で、このプラットフォームの、航空宇宙・防衛産業で求められるコンプライアンスのために長期にわたって確立されてきた方法論とベストプラクティスを活用し、軽量カテゴリー市場において最も安全で効率的かつ洗練されたドローンの一つを開発しました。新しい仕事の方法を取り入れたことで、持続可能なイノベーションを解き放つ新たな機会が開かれたのです。