2023年7月21日、ACSLは、GNSS補正データ配信サービスを利用することでセンチメートル級の高精度測位が可能となるRTKモジュール「RTK-SOTEN」の受注を9月より開始することを発表した。また2023年8月から、SOTENのプロポスティック・ジンバル操作感度の任意変更に対応する。
SOTENは、高性能・高セキュリティな小型ドローンの開発を目的とした、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)公募の「安全安心なドローン基盤技術開発」事業により完成したドローンで、ISO15408(コンピュータセキュリティのための国際規格)に基づくセキュリティ対策を施し、データの漏洩や抜き取りの防止、機体の乗っ取りへの耐性を備えている。
2021年12月に受注を開始し、現在までに約650台を販売。インフラ点検、災害、測量などの分野で活用されている。受注開始から現在まで約1年半の間に複数回のファームウェアのアップデートを実施し、機能や性能などを改善してきた。
主な改良点
高精度な測位が可能なRTKモジュール
2023年9月より、GNSS補正データ配信サービスを利用することでセンチメートル級の高精度な測位が可能なRTKモジュール「RTK-SOTEN」の受注を開始する。点検、災害時の状況把握、測量など正確な位置情報が必要な場面での活用が見込まれる。
カメラ手振れ補正性能の向上
手ぶれによる映像の乱れを軽減させる手振れ補正機能(EIS)を強化し、高品質な画像撮影を実現。同機能は今後も改善していく。
LTE機能の拡充
2022年11月にVPN上でのLTE通信への対応を開始。LTE通信を活用するとインターネットを介したドローンの操縦が可能となるため、山間地やプラント内等の遠隔地などで、自動飛行による補助者なし目視外飛行(レベル3)ができるようになる。
さらに、2023年1月には、機体と操作機器間を閉域網で接続する対応を開始した。機体と操作機器間の通信傍受や乗っ取りなどのセキュリティリスクに対して、閉域網で接続することにより安全な飛行を提供する。
プロポスティック・ジンバル操作を好みに合わせて設定
2023年8月より、プロポスティック・ジンバル操作の感度を操縦者の任意で変更することが可能となる。各パイロットの好みや用途に応じた設定により、現場での活用性を向上させる。
「SOTEN(蒼天)」製品概要
寸法 | アーム展開時:637mm×560mm(プロペラ含む) アーム収納時:162mm×363mm |
機体重量 | 1,720g(標準カメラ・バッテリー含む) |
最大離陸重量 | 2,000g |
最大飛行時間 | 標準カメラ搭載時、風速8m/s条件下:25分 標準カメラ非搭載時、風速8m/s条件下:29分 |
最大伝送距離 | 4km(障害物や電波干渉がない場合) |
防塵・防水性 | IP43(カメラ、ジンバル、バッテリー搭載時) |
標準カメラ | 動画4K対応 静止画時2,000万画素 |
オプションカメラ | 赤外線カメラ+可視カメラ マルチスペクトルカメラ 光学ズームカメラ |
GNSS | GPS+QZSS(準天頂衛星みちびき)+SLAS/SBAS |