2023年7月4日、FPECは、危険区域の精緻なリスク評価業務の付加価値サービスとして、防爆範囲(空気中に可燃性物質が存在する危険な範囲)の3D表示サービスの提供を開始したことを発表した。対象施設の配置図上に防爆範囲を3Dで表示する仕組みを開発し、施設全体を俯瞰した防爆範囲の可視化を実現した。

 これにより、施設での運用実態に合わせた防爆範囲の設定、ドローンの安全な飛行計画への活用が図れるほか、ドローンの自動飛行機能、防爆範囲への誤侵入アラート機能付加など、空間的な位置情報が必要な分野への応用が期待される。

 危険区域の精緻なリスク評価では、「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン」および、その大元になるIEC規格Part10-1「Classification of areas-Explosive gas atmospheres」に基づけば、可燃性のガスや液体の放出源ごとに防爆範囲と危険距離を算定することができる。

 一方で、危険物施設における放出源(フランジ、ネジ接続部、バルブやポンプのシール部など)は多数あり、施設の大小にもよるが数百を超える場合があるため、個々の放出源の防爆範囲を重ね合わせ、施設全体の防爆範囲を把握したい、可視化してほしいといったニーズがあった。

 また、危険物施設内での活用が検討されているドローンについても、防爆範囲に誤って侵入しないような飛行ルートを事前に確認・設定できるよう、施設全体での防爆範囲の可視化ニーズが寄せられていた。

 対象施設の配置図上に防爆範囲を3Dで表示することで、さまざまな視点からその範囲を確認し、全体的なイメージを把握することができる。運用実態に合わせた防爆範囲の設定や、ドローンの飛行計画策定の際にも有効な資料になるとしている。

運用実態に合わせた防爆範囲の設定
 実際の防爆範囲を設定する際には、リスク評価で得た防爆範囲を基に現場における操作や作業性を考慮して、それらを包含する形で設定することが想定される。その際に防爆範囲全体を視認性の高い3D表示で確認することができる。

ドローンの飛行計画策定
 ドローンの飛行時に防爆範囲に誤って入ってしまうことは、安全確保上、絶対に避けなければならない。そのため事前の飛行計画を入念に策定することが求められる。空間的な位置が極めて重要になることから、防爆範囲全体を3Dかつ俯瞰して把握できるメリットは非常に大きいとしている。

3Dプロット図上に3Dで表示した例。黄緑色の部分が防爆範囲。
2Dプロット図上に3Dで表示した例
2Dプロット図上に2Dで表示した例

 また、防爆範囲の空間的な位置情報を活用することにより、ドローンの自動飛行機能への応用や防爆範囲への誤侵入アラート機能の付加などへの応用が期待される。

ドローンの自動飛行機能への応用
 ドローン本体への位置情報搭載やGPS機能などにより、ドローン自身と防爆範囲の位置情報を常に認識し、防爆範囲への侵入を回避しながら自動で飛行することができれば、ドローンの操縦が不要になり操縦に伴うヒューマンエラー防止にもつながる。

防爆範囲への誤侵入アラート機能の付加
 スマートフォンやタブレットなどの非防爆タイプの携帯用端末を実際に現場で使用する場合、看板などを設けて防爆範囲を明確に示すことが必要となるが、実務上、手間暇がかかり面倒であるためにどうするか課題となっている。防爆範囲の3D位置情報と携帯用端末のGPS機能を用いて、現場作業時に不用意に防爆範囲に入ることがないようにアラートを出す機能を端末に持たせる。