和歌山県日高川町とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、2023年7月6日、同町の美山地区、中津地区において、新スマート物流SkyHubのサービスを開始した。日高川町は、山梨県小菅村、北海道上士幌町、福井県敦賀市、茨城県境町、千葉県勝浦市に続き、社会実装フェーズに入った自治体としては全国で第6番目となる。

 新スマート物流SkyHubは、ドローン配送と陸上輸送を融合した新たな物流インフラを構築することにより地域課題の解決に取り組む試みで、セイノーHDとエアロネクストが全国で推進している。

 日高川町では、地域の商店と連携した買い物代行サービス(SkyHub Delivery)と、フードデリバリーサービス(SkyHub Eats)の2つのサービスを順次開始し、住民ニーズに応じて商品ラインナップを拡充しながら対象エリアも広げていくという。

 配送手段は軽バンとドローン。ドローン配送においては、エアロネクストがACSLと共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を主に活用する。

 新スマート物流SkyHubにおける配送拠点であり、一時倉庫の機能をもつドローンデポを日高川町川原河に構え、今年度中に各運送会社と連携した共同配送の開始を目指す。

 なお同事業は、令和5年度デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装TYPE1)「ドローンを活用した新スマート物流実装事業」として採択されている。

(左から)エアロネクスト代表取締役CEO・NEXT DELIVERY代表取締役 田路圭輔氏、日高川町長 久留米啓史氏、セイノーHD執行役員 河合秀治氏。
物流専用ドローン「AirTruck」が離陸する様子
荷物を切り離して置き配するドローン(日高川町若者広場)

サービス内容

・地域の商店と連携した買い物代行サービス(SkyHub Delivery)

 SkyHubアプリで買い物した地域の商店やスーパーなどの商品を、希望日時に個宅に届ける買い物代行・配達代行サービス。地域商店のDX化支援の取り組みでもあるネットスーパーのサービスとなる。

 美山地区では、近隣にある地元スーパーの約50アイテムの食料品や日用品から商品を選び、希望時間を選択して注文を行う。料金は配送料300円(税込)とサービス料(商品代金合計の10%)。当面は午前11時までの注文を当日中に配送する。

・フードデリバリーサービス(SkyHub Eats)

 美山地区、中津地区の提携飲食店のフードをドローン便あるいはクルマ便で配達する。料金は、配送料300円(税込)とサービス料(商品代金合計の10%)を想定している。

ドローン配送について

 ドローン配送には、エアロネクストが物流用途に特化して開発したペイロード(可搬重量)最大5kg、最大飛行距離20kmの物流専用ドローンAirTruckを使用する。

 出発式を行った7月6日は、地域住民の日常的な買い物利用を想定し、美山支所から若者広場までの片道約7kmを約15分でドローン配送した。運んだ品物は、日高川町名産あゆの一夜干しや野菜、備長炭など。

 ドローン配送は、年度内に70日以上の運航、秋以降からはレベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)の実施を目指すとしている。

物流専用ドローン「AirTruck」
今回ドローン配送したあゆの一夜干し、備長炭など