2023年7月11日、セキドは、東洋製罐が製造するドローン用の遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT-3」の販売を開始したことを発表した。

 産業ドローンプラットフォーム「DJI Matrice 350/300 RTK(以下M350/300 RTK)」の汎用ポートに取り付けることで、遠隔操作で空中からスプレーを噴射できる。防錆剤やコンクリートの表面含浸材による構造物の軽補修、点検時のマーキング、洗浄作業、鳥害対策など、スプレー缶を交換するだけで幅広い作業に対応する。

ドローン用スプレー缶噴射装置「SABOT-3」

ドローン用スプレー缶噴射装置「SABOT-3」

 スプレー缶噴射装置SABOT-3は、DJIのSKYPORTを採用し、M350/300 RTKにワンタッチで取り付け可能。他のペイロードへの切り替えもスムーズに行える。

 DJIのPAYLOAD SDKによって開発されており、取り付け後は飛行制御アプリDJI Pilotが自動的に認識し、操作を開始できる。DJI Pilotアプリや送信機での操作に対応し、用途に合わせてスプレー缶を付け替えることで、高所や足場が必要な箇所での構造物の軽補修、点検時のマーキング、洗浄、鳥害対策、害虫駆除などの作業を低コストで安全、短時間に実施することができる。

 液が無くなったり液種を切り替える場合は、スナップ錠を外しカバーを開けてスプレー缶を交換するだけ。ノズルはスクリュー方式で脱着が簡単なほか、シンプルな構造のためメンテナンスも容易で、用途によっては使い捨て運用も可能だ。

 パン・チルト方向の2軸に駆動するノズルジンバルを備え、使用時にノズルの方向を動かすことができる。高トルクのモータを採用し、噴射反動で空転することはないという。

 ノズルと同軸方向を監視する高精度・ロングレンジのレーザー測距センサーとオートフォーカスカメラを設置しており、対象までの距離をリアルタイムに測りながら、カメラ映像で噴射状況を確認できる。

 機体の傾きに対してチルト角度を安定させるスタビライザー機能を備え、空中でも安定した噴射が可能。

 GUI(グラフィックユーザーインターフェース)は、DJI Pilotの画面上に表示。狙いを定めるための到達位置予測を中心に、対象物からの距離やスプレー缶の残量、噴射モードやセーフティ状態など、操作に必要な情報を、HDカメラ映像上に重ねて表示する。

 内容物の噴射軌道データと測距センサが取得した距離値から、液が到達する位置と飛散量を予測して画面上に表示。予測位置を用いて狙いを定めることで、ピンポイント噴射が可能となる。機体の姿勢から受けている風向きを推定し、画面上に液のドリフト方向をドットの動きで表示するため、オペレーターは噴射タイミングや照準の調整を慎重にコントロールできる。

SABOT-3用補助噴射装置「増槽」

SABOT-3用補助噴射装置「増槽」

 スプレー缶を追加搭載するオプションのSABOT-3用補助噴射装置「増槽」。SABOT-3と連結することで、スプレー缶を最大5本まで並列につなぎ、噴射容量を750mlまで拡張する。

 M350/350 RTK のランディングギアに2台、もしくは4台の取り付けが可能。フライトコンディションや作業内容に応じて搭載するスプレー缶の量を選択できる。

 ランディングギアに直接クランプすることで取り付けは完了。耐脱落性に優れ、工具レスの利便性と安全性を両立している。ワンタッチ式の継手やコネクタを採用し、チューブ配管やSABOT-3本体への配線も簡単に行える。