2023年6月26日、CalTa、Liberaware、JR東日本コンサルタンツ、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は、新型ドローン「IBIS2」とデジタルツイン(※1)ソフトウェア「TRANCITY」のアップグレードを行うことを発表した。

 これにより、CalTa提供のIBISによる狭小空間の画像取得サービスと、TRANCITYによる三次元データ活用サービスを高度化し、多様化するニーズに対応するとしている。

 IBIS2は、従来機のIBISに比べ、飛行時間、揚力、センサ搭載能力などが向上。TRANCITYは新たな機能として、計測結果のデジタル記録、三次元空間上での画像・PDFなどのデータ共有、3Dウォークなどを実装する。

※1 デジタルツイン:現実空間で収集したデータをもとに、現実空間を仮想空間に再現する技術。

新型ドローン「IBIS2」

 屋内空間に特化して開発された小型ドローンIBISは、人の代わりに狭小空間や高所、危険な箇所を調査する。鉄道施設をはじめ、多くのインフラ設備点検におけるニーズに対応するためIBIS2を開発、2023年6月26日より販売を開始する。

 飛行時間は約1.4倍となり、揚力も向上。赤外線カメラやデータ取得センサの搭載にも対応する。超高感度カメラ・ライトを採用し、明るく鮮明な画像を取得可能。機体が上下反転した状態からでも飛行できる。

デジタルツインソフトウェア「TRANCITY」

 TRANCITYは、小型ドローンやスマートフォン等で撮影した動画をアップロードするだけで、電子地図上に点群を自動生成する。BIM(※2)データや点群データを重ねて表示し、それらのデータを時系列表示して管理することができる。

 今回、鉄道事業をはじめとするインフラ事業や製造業等からの意見を踏まえて、新機能を開発したという。

 同ソフトは三次元空間上で画像やPDFなどのデータ共有が可能。三次元空間上で計測し、記録することができる。360度カメラの撮影動画からの点群生成にも対応。三次元空間上で確認やシミュレーションができる3Dウォーク機能を搭載している。販売開始時期は2023年7月1日。

※2 BIM:Building Information Modelingの略。さまざまな情報を結び付けた三次元構造物モデル。

スピーディに情報を共有、多角的に現地状況を確認

 IBIS2の飛行時間が延びたことで、これまで以上に狭小空間の調査が行えるようになり、TRANCITYは即座に三次元空間上への現地画像等の投稿が可能となった。これらを活用して必要な時にいつでも現地状況をスピーディに情報共有できる。

 また、IBIS2はカメラやデータ取得センサの追加搭載に対応し、取得したデータをTRANCITYにアップロードすることで、分かりやすい三次元空間上でより多角的に現地状況を確認できる。

JR東日本におけるTRANCITYの活用事例

 JR東日本では鉄道設備の改良・新設をする際に、鉄道設備の計測を行っている。これまでは、多くの社員が現地に赴き計測結果を記録していたが、少人数で三次元データを取得して計測をデジタル空間上で行うことで、計測作業や帳票作成作業の省力化を進めているという。

 また、3Dウォーク機能は、利用者や運転士等の視点(目線)で改良・新設計画を確認するなど、計画の妥当性の確認や、関係者の合意形成への活用が期待できるとしている。