2023年6月20日、ナイルワークスは、北海道 空知営業所と東北営業所を新たに開設したことを発表した。これにより、デジタル技術を活用した“新しい農業”を推進するとしている。

 農業就業人口の減少や高齢化に伴い、農地集約や経営規模の拡大が進行している。国際情勢の影響から肥料などの価格も高騰し、農作業の効率化や需要に応じた米の生産・価値向上が求められている。

 同社は、全国延べ1万5,000ha以上の農業用自動飛行ドローンによる散布実績(2019–2022年)を持つほか、AI・デジタルツインなどの先端技術を応用し、作物解析や作物シミュレーションの開発にも注力している。また地方自治体やJAとも連携し、技術を活用した“新しい農業”を農業現場に取り入れる仕組みづくりを構築している。今後各地域のサポートを強化するため、北海道 空知営業所と東北営業所を立ち上げた。

 同社は、両営業所を新たに開設することで、迅速に市場ニーズを製品・サービスに反映していくことを目指すとしている。

北海道 空知営業所

 作付面積4万1,500ha(2021年)と全道の約43%を占める水稲を中心に、小麦・大豆、野菜・花きなど多様な農業が行われている北海道の空知地域。同社は「美唄市ICT農業推進協議会」に参画し、2020年よりドローンのシェアリング実証事業に取り組んでいる。2022年は農業未経験者によるドローン防除も実施。自動飛行ドローンにより誰でも防除でき、北海道の散布実績は約900haだった。また、センシングと画像解析により作物の生育不良箇所を特定し、その場所にのみドローンで追肥する実証も行っている。

 同地域における事業拡大に向けてスタッフを増強し、これまでの美唄拠点と夕張拠点の2拠点を空知営業所に移転した。

農業未経験者による防除作業(左)、小麦の生育不良箇所に追肥(右)

東北営業所

 全国の水稲作付面積のうち、東北はその約25%を占める米どころである。同社の農業用ドローンは東北エリアの生産者にも利用されており、その声をドローンの改良や導入の仕組みづくりに生かしているという。

 2021年からは、みやぎ登米農業協同組合(JAみやぎ登米)と連携してドローンのレンタルサービスを提供し、地元の生産者に導入しやすい環境を整えた。これによりドローンの導入が加速し、2022年の東北エリアの散布実績は約3,000haとなった。今後も農業が続いていくよう各地域の特徴にあわせたサポートに注力し、より円滑にステークホルダーとコミュニケーションを図るため、東北各地にアクセスしやすい宮城県大崎市に東北営業所を開設する。

自動飛行ドローンによる水稲防除
飛行に立ち会うナイルワークスのスタッフ