2023年5月25日、東大発・米国物流ロボティクスベンチャーRENATUS ROBOTICS Inc.(以下、RENATUS ROBOTICS)は、SAFE型新株予約権の発行による200万ドル(約3.0億円)の資金調達を実施し、シードラウンドをファーストクローズしたことを発表した。

 引受先は、EC物流BPO事業を展開するイー・ロジットと、Akatsuki Venturesが運営するDawn Capital。RENATUS ROBOTICSの持つ最先端のAI・ロボティクス技術と、イーロジットの持つEC物流のノウハウ、Dawn Capitalの持つブロックチェーン領域のノウハウを掛け合わせることで、事業を加速するとしている。

 同社は完全無人の倉庫を実現するため、今回調達した資金により、人材採用と自動倉庫のロボット・棚等の大量製造に向けた部材調達を進める。

 自動倉庫システムの実現に必要なロボットや高速昇降リフト、配車アルゴリズムなどの開発は順調に進んでおり、無人倉庫システム「RENATUS(レナトス)」の製品完成に向けた各コンポーネントの統合や大量製造フェーズへと移行している。ロボット・棚等の大量製造に向けた部材調達を進め、自動倉庫の立ち上げを行う。

無人倉庫システム「RENATUS」

 RENATUSは倉庫内に建てられた高さ5〜30mのラック内において、ラックに敷設されたレール上を専用シャトル「RENATUS SHUTTLE」が走行することで、コンテナを効率的に作業者の元へと運ぶ次世代のGTP(作業者の手元にアイテムが自動供給され、ピッキングする手法)である。

RENATUSの特徴

ワンストップ梱包
 コンテナ単位で完全に順立てされた状態で荷物が輸送されるため、作業者がコンテナからピックした荷物をそのまま出荷用の段ボールに繰り返し入れていくだけで、ピッキング・集約・梱包の3工程を1度に達成する。

ピッキング速度
 業界最速クラスのシャトル&リフトと、3次元ではなく各階層を2次元に水平移動する新方式のシャトルの採用によって、1時間当たり500行以上のピッキング(人間と比較して約20倍)が可能。

格納効率
 独自の配車最適化アルゴリズム、新方式の通信環境によってラックの大規模化を可能としている。加えて、バッファ装置やベルトコンベアなどの設備を削減することで面積効率が大幅に向上し、コンテナ100万箱以上を1拠点に高密度保管できる。

今後について

 今回の資金調達をシードラウンドのファーストクローズと位置付け、今後の事業拡大を加速させるため、引き続き同ラウンドでの追加調達を進めるとしている。また同社は、自動倉庫を裏付け資産としたトークン等による資金調達を検討しているという。

 今後、RENATUSをグローバル市場でスピード感をもって展開し、ピッキング・集約・梱包作業の効率化をはじめ、アームロボットによるピッキング自動化や、自動運転技術を活用したトラック運搬の自動化、ドローン配送の技術を実装し、完全自動倉庫の実現を推進する。