2023年5月11日、産業技術総合研究所デジタルアーキテクチャ研究センター(以下、産総研)は、2023年2月~3月に、千葉県柏市の柏の葉キャンパス駅周辺およびアクアテラス周辺エリアにおいて、独自の運行管理システム(AIST Fleet Management System:以下、AIST FMS)による自動配送ロボットの走行実験を行ったことを発表した。

 実験では産総研が開発する「hacobie(ハコビー)」と、ZMP社「DeliRo(デリロ)」の2種類の配送ロボットの自動走行を行った。AIST FMSでは、複数種類・複数台の配送ロボット(図1)の現在位置、速度、電池残量、配送荷物用扉の開閉状態、配送ロボットが走行中か停止中か等を表す車両ステータスおよび指示された配送タスク等を、クラウド上で統合的に運行管理できる機能を実装。実証実験において、AIST FMSの基本的な動作が実現できていることを確認した。

【図1】実験に用いた複数種類(産総研製、ZMP社製)・複数台(各社製の2台)の配送ロボット

 AIST FMSでは、画面の左側にある地図上で走行中の4台の配送ロボットの現在位置を確認することができ、右側において各配送ロボットの状態を確認することができる(図2)。また指示画面(図3)により、配送物の積込場所、配送先、配送時刻等を任意の配送ロボットに対して設定することで、配送ロボットが自動的に移動する仕組みを構築している。

【図2】AIST FMSによる運行管理確認画面
【図3】AIST FMSでの各配送ロボットへの配送指示画面

 実験では柏の葉地区でのサービスを想定した走行ルートにおいて、各配送ロボットの安全走行を確認。AIST FMSを用いた複数の配送ロボットの運行状態管理の基本動作を確認することができた。

 今後はAIST FMSを拡張し、同地区の住民が利用する配送ロボットによるサービスの実用化、3種類以上の配送ロボットの運行管理や1人乗り・警備ロボットをはじめとした配送機能以外の自律移動ロボットへの対応、住民が利用する各種移動サービスと連携したモビリティサービスプラットフォームの実現等の課題に取り組むとしている。