2023年5月17日、カワサキモータース、スズキ、本田技研工業（以下、Honda）、ヤマハ発動機の4社は、5月11日に、二輪・軽四輪・小型船舶・建設機械・ドローンなど小型モビリティ向け水素エンジンの基礎研究を目的とした「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合（HySE：Hydrogen Small mobility & Engine technology）」の設立に向け、経済産業省の認可を得たことを発表した。

　脱炭素社会の実現に向け、モビリティの分野では一つのエネルギーだけではなく、マルチパスウェイ（複数の経路）での取り組みが求められている。その中で次世代エネルギーとして注目される水素を使ったエンジンを搭載したモビリティの実用化に向けた研究開発が加速している。水素には燃焼速度の速さに加え、着火領域の広さから燃焼が不安定になりやすいこと、また、小型モビリティでの利用にあたっては燃料搭載スペースが狭いなどといった技術的な課題があるという。

　HySEでは今後各社が連携して、小型モビリティ用水素エンジンの設計指針の確立も含めた基礎研究に取り組むとしている。

主な研究開発の内容・役割分担

1. 水素エンジンの研究

水素エンジンのモデルベース開発の研究Honda
機能・性能・信頼性に関する要素研究スズキ
機能・性能・信頼性に関する実機研究ヤマハ発動機
カワサキモータース

2. 水素充填システム検討

水素充填系統および水素タンクの小型モビリティ向け要求検討ヤマハ発動機

3. 燃料供給系統システム検討

燃料供給システムおよびタンクに付随する機器、
タンクからインジェクタ間に配置する機器の検討		カワサキモータース

　HySEには正組合員である二輪メーカー4社に加え、特別組合員として、川崎重工業（以下、川崎重工）とトヨタ自動車（以下、トヨタ）が参画する。

　川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構（HySTRA）の主幹事として有するノウハウをHySEの運営に活用し、トヨタは四輪車用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウからHySEの研究成果の最大化を進めるとしている。

HySE概要（予定）

名称
水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合（HySE：Hydrogen Small mobility & Engine technology）

所在地
東京都中央区八重洲2丁目2番1号 八重洲セントラルタワー

理事長候補
小松賢二 氏（ヤマハ発動機 執行役員）

組合員候補
正組合員：カワサキモータース、スズキ、Honda、ヤマハ発動機
特別組合員：川崎重工、トヨタ

設立時期
2023年6月予定