2023年4月7日、戸田建設はZMP、日立ビルシステムと、同社筑波技術研究所において、サービスロボットとヒトの同乗連携および屋外から建物内への配達に関する複合実証実験を実施し、一定の成果を確認したことを発表した。

サービスロボットとヒトのエレベーター同乗の様子

 ロボットの導入にあたりユーザー側の業務プロセスや施設環境をロボット導入しやすい環境(ロボットフレンドリーな環境)へと変革することを目指し、戸田建設が開発した無線LAN環境構築技術「ウェーブガイドLANシステム」を活用して実施した。

 同システムは、エレベーター内に安定したWi-Fi電波環境を構築可能。これによりサービスロボットは、エレベーター内においてもWi-Fi電波を通じて制御されるため、ヒトと安全に同乗することができる。建物全体でシームレスなWi-Fi電波環境を整えることで、場所や時間を問わずロボットとヒトの共存が可能になるという。

 実証実験では、ZMP社製の宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」を用いて、屋外から建物内へ配達を行った。筑波研究所本館棟前で荷物を預かったデリロは、敷地内の道路を走った後、別棟に入り日立ビルシステム社製のエレベーターにヒトと同乗。Wi-Fi電波環境を通じた遠隔監視のもと3階へ移動し、同階オフィスへ荷物を配達した。
 また、災害時対応の実験として、地震・火災・停電・ロボット故障時でのデリロとエレベーターとの連携を確認した。

 今回は既設の汎用エレベーターにおける実験成果であり、ロボットフレンドリーな環境構築は新築だけでなく改修工事需要にも対応できることも確認できた。

 今後も戸田建設は、ロボットとヒトが共生する「ロボットフレンドリービルディングデザイン」の構築を推進するとしている。

屋外から3Fオフィスに直接配達に向かうロボット
各社の役割
戸田建設・実証実験の企画立案および全体のとりまとめ
・実験施設の提供
ZMP・宅配ロボットDeliRo・ROBO-HI(ロボットマネジメントプラットフォーム)の提供および開発
・実験施設のマッピング化
日立ビルシステム・エレベーターの改修