徳島県佐那河内村とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERY、KDDIスマートドローンは、2023年5月10日、ドローンを含む次世代高度技術の活用による地方創生に向けた連携協定を締結した。

 5者は、2023年3月に、次世代高度技術の活用により新しい物流インフラの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施し、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装に向けて検討を進めていた。

 同協定により、ドローンをはじめとする次世代高度技術を活用し、地域発展に資する施策を推進するとしている。

(左より)セイノーHD執行役員 河合秀治氏、佐那河内村長 岩城福治氏、エアロネクスト代表取締役CEO田路圭輔氏、KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野雅文氏
3月の実証実験では弁当と飲料を配送した

 佐那河内村は、住民の自然に関する関心が高く、2020年度に策定した佐那河内村総合計画では、自然環境の保護・保全のため環境への負荷軽減対策に取り組むことを、住みよい環境づくりの主要な施策・事業として挙げている。
 また中山間地域に属する同村では、生活する上で車の運転が欠かせない。一方、人口2,171人、942世帯、高齢化率は47.6%(2023年1月末現在)、運転免許証を返納する高齢者も増加傾向にあるという。今後、買い物難民の増加が見込まれるほか、担い手不足による過疎地に対する物流問題など、生活利便性の確保が困難になってきている。

 3月の実証実験の後、佐那河内村はデジタル田園都市国家構想交付金に採択されたことから、まず物流が抱える課題をデジタル技術で解決し、並行して観光・産業・経済の振興・防災および災害時の対応や人材育成についても取り組みを具体化するとしている。

新スマート物流で使用する物流専用ドローン「AirTruck」
モバイル通信を用いて機体の遠隔制御・自律飛行を可能とするKDDIスマートドローンのサービス「スマートドローンツールズ」の運航管理システム画面

連携協定の概要

締結日
2023年5月10日

協定の内容
ドローンをはじめとする次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。

1. 佐那河内村における観光・産業・経済の振興・防災および災害時の対応に関すること
2. 佐那河内村の地域交通や物流が抱える課題の解決に関すること
3. 佐那河内村の人材育成に向けた取り組みに関すること
4. その他、全ての当事者間にて協議し必要と認めること

各者コメント

佐那河内村長 岩城 福治 氏

 佐那河内村において、近い将来、高齢者の買い物に関する課題や、過疎地域での配送可能日の減少の可能性など、これまでの生活利便性が維持できなくなることが考えられます。

 今回の協定の締結により、まずは買い物支援及び物流に関する課題に着手することで、これから先の村民の生活利便性を損なうことなく、新たな生活スタイルの確立を図り、福祉の向上につなげられると考えており、佐那河内村としても、各社の取り組みについてできる限りの支援を実施して参ります。

セイノーHD執行役員 河合 秀治 氏

 セイノーホールディングスは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。佐那河内村においては、住民の皆様が持続的に安心して暮せる住みよい地域づくりと住民サービスの維持、向上に向け、デポを起点として地域物流を集約、効率的な共同配送を進めます。更にドローンによる自動化を組み合わせることで、環境に優しいGreen物流のモデル構築に取組んで参ります。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路 圭輔 氏

 佐那河内村が四国地方で最初の協定締結となり、嬉しく思っています。新スマート物流は、地域社会が抱えるさまざまな課題に物流を起点に取り組む試みです。まずは地域物流が抱える課題をデジタル技術で解決し、並行して交通、観光、産業・経済の振興、防災と災害時の対応や人材育成についても取り組んでいければと思います。

KDDIスマートドローン代表取締役社長 博野 雅文 氏

 本協定に参画をさせて頂いたこと、大変嬉しく思っております。当社のモバイル通信、運航管理システムに加え、これまで蓄積してきたドローンの産業領域への適用ノウハウを最大限活用し、佐那河内村の抱える社会課題の解決を推進いたします。