2023年4月17日、センシンロボティクスはフジタと共同で、国土交通省が公募した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」で選定された「トンネル坑内自動巡視ドローンシステム」の内閣府のPRISM予算を活用した現場試行において、その効果を確認したことを発表した。

ドローンがトンネル坑内を自律飛行する様子

試行工事の概要

工事名:令和元-4年度 横断道羽ノ浦トンネル工事
工事場所:徳島県小松島市櫛渕町久ヶ谷から阿南市羽ノ浦町岩脇猪ノ谷地先
工期:2020年2月26日~2023年7月31日
工事内容:工事延長L=2,200メートル、
     トンネル延長L=753メートル、NATM工法
     発破掘削(一部機械掘削)、内空断面積A=70.5平方メートル
     掘削工L=747メートル、V=70,500立方メートル

技術の概要

トンネル坑内自動巡視ドローンシステム

 トンネル工事で行われている巡視・点検等の施工管理、遠隔臨場による段階確認・立会等の業務において、ドローンの自律制御による飛行支援機能を活用。

トンネル坑内自律飛行ドローン
 飛行制御にLiDAR取得情報を利用し、非GNSS(全球測位衛星システム)環境かつ屋外と比べて暗いトンネル坑内においても、障害物検知や回避飛行により安全で安定した自律飛行を実現。

LiDAR取得情報によりトンネル坑内を自律飛行

坑内全線の網羅的な巡視
 ドローンに搭載した360度カメラで坑口から切羽までの連続的な映像を取得し処理を行うことで、クラウドを介して遠隔拠点において坑内全線をVR空間内で巡視・点検が可能。

切羽の遠隔(無人)点検
 発破後や掘削完了後にカメラや熱赤外線の各センサーなどを搭載したドローンを切羽まで自律飛行させることで、高精細な画像、映像等を取得し、人が切羽に近接せずに安全に詳細点検を実施。

トンネル切羽の無人点検

遠隔臨場ドローンシステム
 飛行中のドローンのカメラ映像をリアルタイムに配信して、遠隔拠点からトンネル坑内の現状把握、点検を実施。

遠隔拠点からトンネル坑内の現状把握、点検を実施する様子

導入の効果

1. 作業時間、作業人員の縮減
 360度カメラを搭載した自律飛行ドローンによるトンネル施工全線の網羅的情報収集とクラウドでの自動データ処理により、従来、人が行っていたトンネル坑内巡視・点検、情報整理作業と比較し、作業時間を75%、作業人員を87.5%縮減。

2. 安全性の向上
 従来は切羽に近接して目視で状況を点検する必要があったが、自律飛行ドローンで切羽後方100m以上からの点検が可能となり、切羽近傍への立ち入りが不要。また、リアルタイムに遠隔拠点へ切羽の状況を共有可能。

3. 品質の確保・向上
 従来の目視や写真情報のほか、ドローンにより高精細な画像、温度情報を取得。また取得データから次掘削の作業指針、対策工の検討資料として活用が可能。

4. 施工管理の効率化・高度化
 クラウドでの膨大な情報整理、データ生成により、従来に比べ迅速な情報共有が可能。母店、本社など別拠点の熟練技術者が移動を伴わず技術検討会に参加でき、多くの目で現場状況を把握することで、迅速な課題抽出、施工への反映が可能となり、施工管理の効率化、高度化を実現する。