2023年5月9日、Archaic(アルカイック)と、ファンリードは、「自動ハイパースペクトラム学習システム」を共同開発したことを発表した。

 ハイパースペクトルカメラでしか取得できない情報と、高解像度RGBカメラで取得できる情報の相関を学習し、高解像度RGBカメラでハイパースペクトルカメラの特性をAIにより可視化する。

 従来、RGBの画像データの解像度を高めることで、画像データをディスプレイに表示させたときに撮像された物体の細部を視認することができるが、物体の形状、材質、撮像条件(明るさや撮影方向など)によっては、物体の細部を明瞭に視認することができない場合がある。

 一方、高解像度のハイパースペクトルカメラを用いれば、RGBの画像データでは明瞭に視認することができないような傷でも、明瞭に視認することができる。しかしハイパースペクトルカメラは非常に高額であり、このカメラを用いて全ての検査を行うことは現実的ではないため、同システムにより物体の予測または検査におけるコストを低減するとしている。

各社コメント

Archaic代表取締役社長 横山 淳 氏

 ハイパースペクトルカメラは、軍事や宇宙、産業、食品など、多岐にわたる領域で使用されていますが、その高価なため普及が進んでいません。一方で、スマホに備え付けられた一般的なRGBカメラは、高解像度で技術的にも産業的にも進化し、1万円以下で購入可能な4Kカメラもあります。今回の発明は、高価なハイパースペクトルカメラを一般的な高解像度カメラで補う方法です。情報の取り扱いが異なるため、完全な変換はできませんが、一部でも代用できれば、どちらのカメラにも新しい付加価値を提供することができます。例えば、スマホで魚の新鮮度や野菜の残留農薬を測定できると生活が変わると思います。今回の発明によって、そういった機能が実現できる可能性があります。

ファンリード IoT×宇宙ビジネス開発担当 岸 耕一 氏

 Archaic代表の横山氏には、スマート農業の事業化において当初からハイパースペクトルデータ分析の分野でご協力をいただいており、スマホアプリをはじめ幅広い領域に応用可能な発明にまとめていただきました。さまざまな分野におけるDX推進に活用していきたいと思います。