2023年4月27日、日本電気(以下、NEC)とNTTデータ、日立製作所(以下、日立)は、3社で規格化を進めてきたドローン運航管理システム(UTM)の機能構造に関する標準規格が、2023年4月26日に国際標準化機構(ISO)より、国際規格「ISO 23629-5 UAS traffic management (UTM) — Part 5:UTM functional structure」として正式に採択・発行されたことを発表した。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を3社が受託し、2017年から共同で取り組んできたもので、国際調整などを経て、日本発の提案(※1)がISOから国際規格として正式に採択・発行された。

 UTMの機能構造を国際標準化したことで、世界のドローンに関わるステークホルダー同士が国際規格で定義された言葉で議論できるようになる。これにより、ドローンを活用したシステムに求められる具体的なサービス・機能要件や、システム全体のアーキテクチャーの検討、ステークホルダー間の機能実装分担、システムの調達などの調整を齟齬(そご)なく実施できる。

 現在、世界中でドローンの社会実装に向けてUTMの開発が進んでおり、日本国内でも2022年12月の改正航空法の施行にともない、無人航空機の有人地帯での目視外飛行(レベル4)が解禁されるなど、環境整備や研究開発が活発化している。一方、UTMに関わる用語や機能構造は国ごとにさまざまな定義があり、グローバルで共通理解のもとでの議論が難しいといった課題があった。

※1 今回の規格は、無人航空機国際標準化国内委員会がISOに提案した。

標準規格の内容

 UTMは複数のシステムやサービス群が相互に連携して機能する。今回発行された国際規格「ISO 23629-5」は、ドローンが安心・安全・効率的に運航できるようにUTMが提供すべき機能と各機能間の関連性を構造的に整理したものである。大きく「登録管理機能」「空域情報管理機能」「飛行計画管理機能」「位置情報管理機能」「報告作成機能」「情報提供機能」の6つの機能群に構成を整理した。

UTM機能構造の概念図

各社の役割
NEC飛行計画管理機能、情報提供機能に関する規格作成
NTTデータ登録管理機能、空域情報管理機能に関する規格作成
日立位置情報管理機能、報告作成機能に関する規格作成


▼国際規格 ISO 23629-5(ISO)
https://www.iso.org/standard/78961.html