2022年10月3日、NTTアーバンソリューションズ、NTT都市開発、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、日本電信電話(以下、NTT)は、モバイルオーダーアプリと連動した自律型ロボットによるフードデリバリに関する実証実験を、アーバンネット名古屋ネクスタビルにおいて開始する。ビル内でのロボット活用による省力化と、オフィスワーカーの新しい価値体験・飲食店の販売機会創出などを目指す。

 従来はロボットに行き先を指定して配達していたものを、今回の実証ではロボットやエレベーターなどのビル設備情報や経路・店舗の混雑情報などをクラウドに集めて最適化シミュレーションを実施し、注文受領後にロボットが人の指示を介さずに自律的に最適なルートを検索して店舗へ集荷、該当フロアに配送する。

 同実証では、混雑情報や予約情報などのデータを収集、予測・分析して最適経路・最適運行計画を作成することで、要望の時間帯に効率的に指定の場所へ商品を届ける。オーダーから決済までをアプリで完結し、ロボットが自律的に飲食店に集荷・配送するため、飲食店側も新たな販売機会を創出・拡大できるとしている。

 STEP1として、2022年10月3日〜11月30日に一店舗でロボット・飲食店・利用者の基本動作・オペレーションについて確認し、2023年1月以降はSTEP2として対象店舗・利用者を広げて実証を行う予定。使用ロボットはZMPの宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」。実証実験中の配送料は無料となる。

宅配ロボット「DeliRo」
宅配ロボット「DeliRo」

検証内容

ユーザーのニーズに対する検証

利用者のニーズ
適切な時間内に飲食物が配送されること(予定配送時間の前後5分以内の到着を目指す)
希望どおりに飲食物の受け取りが可能であること
飲食店のニーズ
ロボット配送のためのオペレーションが店舗運営に支障なくできること
販売機会増に貢献していること

技術の検証

最適経路探索技術
配送時の経路上の混雑やエレベーターなどの利用状況など外部環境を把握・予測し、ロボットの最適経路を計算する技術により、自動で適切な配送が実現できること
配送計画最適化技術
複数の注文に対して、複数のロボットを利用して最短時間・最小限の稼働で効率的に配送できること
ロボット制御最適化システム
上記2つの技術組み合わせ、利用者が要望する時間に適切に届けるための最適な運行を計画し、配送できること

 実現にあたっては、NTTの「街づくりDTC」(※1)および「4Dデジタル基盤」(※2)技術を活用する。また、ロボットの通信には5G通信を使用。ロボットの位置情報や走行時のカメラ映像、複数台の運行状況を管理者へ常時リアルタイムに伝送し、屋内配送の安心安全なサービス提供を実現するとしている。

※1 店舗運営、飲食フードロス、個人向けサービスなど、さまざまなデジタルツイン間の連鎖により街の全体最適化を行う技術。
※2 ヒト・モノ・コトのさまざまなセンシングデータをリアルタイムに収集し、緯度・経度・高度・時刻の4次元情報を高い精度で一致・統合させ、多様な産業基盤とのデータ融合や未来予測を可能とする基盤。

ロボット配送サービスおよびシステム概要
各社の役割
NTTアーバンソリューションズロボット活用サービス企画、ユースケース検討や検証
NTT都市開発実証フィールドにおける実証サービス提供のための各種調整、環境整備などの準備
NTT Com5G/LTE等の通信環境整備、ロボットに関わるシステム導入の各種検討・調整
NTTNTTスマートデータサイエンスセンタにおける予測最適化技術開発、「街づくりDTC」を構成するアルゴリズム開発


 NTTアーバンソリューションズは、アーバンネット名古屋ネクスタビルにおいてロボットによる警備・清掃を実施しており、今後は屋内外を含めた街区内でのロボットによる配送、用途の異なるロボットも含めた統合管制、ロボットのマルチユースなど、労働人口減少を見据えたビル・街区におけるロボット活用に向けて継続的な検討・検証に取り組むとしている。