2023年4月13日、新明和工業と日本航空(以下、JAL)は、「新事業開発における戦略的連携協定」を締結したことを発表した。両社の持続的な成長のために新事業テーマを創出し、その具現化を共創体制で推進する。連携協定に基づいた新事業開発については、JALグループの航空機整備を行うJALエンジニアリング(以下、JALEC)が進めるとしている。

 航空機メーカーである新明和工業は、極低速(約90km/h)での飛行性能や3mの波高でも着水可能な高波耐性を備えたUS-2型救難飛行艇(※1)を開発するなど、航空機の開発・設計や製造に関する知見を有している。

※1 US-2型救難飛行艇:海難事故の救助活動を目的に、防衛省海上自衛隊によって運用される、陸上だけでなく海面にも着水できる航空機。

US-2型救難飛行艇が離水する様子

 JALECは、航空機オペレーションで得た整備に関する有益な技術的知見を海外の航空機メーカーに伝えることで航空機の信頼性向上に貢献し、退役後の航空機を国内でリサイクルする取り組みにも参画してきた。

 両社の知見を合わせることで、開発・設計から退役までの航空機ライフサイクル(※2)を通じた協力体制を構築するとしている。

※2 航空機ライフサイクル:航空機が開発・製造され、その後運用し最終的に退役するまでの全ての段階。

航空機ライフサイクル

 今後両社は、固定翼型無人航空機などの次世代航空機の開発やその運用、航空機廃材のリサイクルなどによるSDGs課題の解決、防衛省関連事業における相互協力をはじめ、多岐にわたって新事業アイデアを創出・実現することで、日本の航空技術の発展に貢献するとしている。

<両社による新事業開発分野>
1. オープンイノベーション(※3)による新事業アイデアの創出
2. 次世代航空機の開発や運用に関する協業
3. 航空機ライフサイクルにおけるSDGs課題解決に関する協業
4. 防衛省関連案件における協業
5. その他相互に連携協力することが必要と認められる事項

※3 オープンイノベーション:会社や組織がイノベーションを行うために、社外や外部組織からさまざまな情報技術を取り入れること。

新明和工業の固定翼型無人航空機「XU-S」