2023年1月18日、KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空(以下、JAL)、東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)、ウェザーニューズ、メディセオは、東京都あきる野市において、ドローンを活用した医療物資輸送を2023年2月1日から1カ月間運用する実証を実施すると発表した。実証に先立ち、2023年1月25日に地域の小学校でドローンの社会受容性向上に向けたイベントを開催する。

 この実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」に基づき、2022年12月に施行された改正航空法で、有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4飛行)が可能となったことを機に、都内におけるドローン物流サービスの早期の社会実装を目指すものである。

 2022年度は飛行実証やオペレーションの確認を行い、2023年度以降のレベル4での飛行実証の基礎を確立することを目的としている。

物資輸送の様子

 ドローンによる医療物資輸送の長期運用実証では、レベル4飛行でのドローン運用を想定し、2023年2月の平日日中帯に、遠隔地からの運航管理による飛行業務を実施する。公立阿伎留(あきる)医療センターとエスアールエル セントラルラボラトリーの間で飛行ルートを設定し、物流用ドローンの自律飛行による医療物資輸送を行う。

 2022年2月に隅田川で3日間の医薬品配送を実施しており、今回は1カ月間の長期運用を行うことで、技術面やビジネス面および制度面の課題を抽出し、医療物資のドローン物流ビジネスの社会実装を目指す。

実施日時2023年2月1日〜28日までの平日
10:00頃〜16:00頃まで、1日最大5往復(予定)
飛行ルート公立阿伎留医療センター ~ エスアールエル セントラルラボラトリー(約120m)
検証項目・離着陸や飛行中の無人化を見据えた遠隔運航管理のオペレーション
・長期運用における検体輸送(研究用検体)における品質管理
飛行ルート

 使用機体はACSL製「PF2-LTE」。PF2をベースとした機体で第一種型式認証が進められており、高い安全性が確保されている。

ACSL製「PF2-LTE」

全長(プロペラ含む)1,173mm
高さ(アンテナ除く)526mm
飛行速度10m/s
航続時間最大35分
最大ペイロード2.75kg
耐風速10m/s

 実証に先立ち、地域の小学校で児童を対象としたドローン物流に関する教室を開催する。ドローンの安全管理の仕組みや法制度についての説明、社会受容性に関する調査、実際に使われる機体を用いたプロモーションフライトなどを行う。

 都市部におけるドローンサービスの実現には、地域住民を含む第三者上空の飛行が必要となる可能性が高いため、事業性の確保だけでなく社会受容性向上が不可欠である。イベントを通じてドローンの利便性・安全性に関する情報発信を行うことで、ドローン物流ビジネスの社会実装における課題の1つである、地域住民の認知度・理解度向上を目指す。

ドローンが小学校へ飛行する様子
実施日時2023年1月25日(予備日2023年2月8日)
10:00頃〜16:00頃まで、1日1回、片道飛行(予定)
飛行ルート公立阿伎留医療センター駐車場~小学校校庭(約800m)
使用機体ACSL製「PF2-LTE」
飛行ルート
各社役割
KDDIプロジェクト全体取りまとめ
KDDIスマートドローン・スマートドローンプラットフォームの提供
・機体運航の支援
JAL・機体運航
・ドローン物流ビジネスの策定および評価検証
・ドローンの飛行に係る安全管理
JR東日本自治体および実証地域住民に向けた社会受容性向上の推進
ウェザーニューズ・安全運航のための気象データ提供および助言
・有人航空機と無人航空機の連携シミュレーションデータ提供
メディセオドローンを利用した医薬品配送手順の策定および検証

 6社は同実証におけるドローン物流の長期運用を通じて、技術面やビジネス面、制度面の課題を抽出し、恒常的なドローン飛行に必要な安全運航体制やビジネスモデルの検討を行うとしている。また、2023年度には都心部でのレベル4飛行実証、2024年度には都心部での長期的なレベル4飛行実証を行う予定だ。