2023年1月17日、三重県とデロイト トーマツ コンサルティング(以下、デロイト トーマツ)、エアロネクスト、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、日本航空(以下、JAL)は、1月13日に三重県伊賀市において、三重県における「ドローン物流」事業モデル検証のための実証実験を実施したことを発表した。

 同実証は、三重県が2022度に実施している「「空の移動革命」実現に向けた先進的ドローン物流調査事業」におけるデロイト トーマツとの委託契約に基づき、ドローンによる物流の事業化につなげることを目的に実施したものである。

(左より)セイノーHD執行役員 河合秀治氏、デロイト トーマツ航空宇宙・防衛セクター ディレクター 谷本浩隆氏、三重県デジタル社会推進局 局長 三宅恒之氏、伊賀市副市長 大森秀俊氏、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏、JALエアモビリティ創造部オペレーション企画グループ長 田中秀治氏。
伊賀市大山田地区で荷物を配送する物流専用ドローン「AirTruck」
ドローン配送された食料品を受け取る地域住民モニター(大山田東グラウンド)

 三重県では空の移動革命の実現に向けて、県内におけるドローンを活用した物流のユースケース検討を行った上で、それに対応した事業モデルを構築し、課題を抽出・解決することによるドローン物流の事業化を目指している。この取り組みの一環として、2022年度に検討を行った事業モデルについて、ドローンの飛行に関する課題を抽出することを目的に、ドローン実機を用いた実証実験を行った。

 同実証では下記2つのユースケースを想定し、モニター役の地域住民へサービスを提供するとともに、アンケート等を通じてサービス利用者・提供者それぞれの観点から、構築した事業モデルの実現可能性や持続可能性について検証を行った。

1. 買い物代行
 買い物に関する選択肢(場所・品目)が少ない条件不利地域において、買い物代行とドローン配送を行うことによる買い物難民問題の解決。

2. 宅配輸送
 車による荷物輸送の一部をドローンに置き換えることによる物流の効率化。

実証実施体制
プロジェクト全体企画・統括三重県、デロイト トーマツ
機体運航および実証企画(ルート選定等)エアロネクスト
実証企画(物流ユースケースのアドバイス等)セイノーHD
実証企画(運航に関する法規制のアドバイス等)JAL
フィールド提供伊賀市、阿波地区市民センター
商品提供アニーズ三平

 実証実験では、ドローン物流による買い物難民問題の解決を図るため、住民モニターが注文した「お菓子セット」(約3kg)の各商品をスーパー(アニーズ三平)で買い物代行し、隣接するせせらぎ運動公園から大山田東グラウンドまでの片道約9kmを、ドローンにより約20分で配送した。

 機体はエアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」を用い、無人地帯上空での目視内自律飛行(レベル2飛行)を実施。偏ったり崩れたりすることなく商品を配送することができた。

 また、荷物輸送量が少ない一方で、輸送距離・時間が長く、物流の効率化が求められる同地域において、宅配荷物(約3kg)を伊賀市千歳下水の三重西濃運輸上野支店からせせらぎ運動公園までトラックで輸送後、その先の大山田東グラウンドまでをドローンに載せ替えて輸送する、宅配トラックと連携したドローン物流の実証も併せて実施した。

 トラックとドローンを組み合わせた物流により、荷物到着までの時間短縮に加え、トラックドライバーの労働時間短縮や走行距離短縮による燃油消費量の削減等が期待される。

 今後、同実証を通じて抽出された課題の解決やその後のドローン物流の事業化を目指すとしている。

実証実験に使用した物流専用ドローン「AirTruck」(技術検証試験機)
ドローン配送した「お菓子セット」
宅配トラックからドローンに荷物を載せ替え目的地へ配送