2023年4月10日、竹中工務店は、自律・自動飛行するドローンの空撮画像データをリアルタイムにAI解析することで、道路や駐車スペースの車両台数を判定、データ連携による混雑度見える化の実証実験を行ったことを発表した。

 同実証実験により、2025年大阪・関西万博会場の建設工事が今春から開始されるのに先立ち、建設工事や移動・搬送の円滑化にドローンを活用することの実現性を示し、適切な運用のノウハウを習得するとしている。

 内閣府による2022年度「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」に採択された「夢洲プラットフォームの構築」の一環として実施するもので、同社は「夢洲プラットフォーム検討協議会」の一員として非接触充電(ドローン)に参画している。

 実証実施期間は2022年12月12日~14日。建物屋上にドローン用のポートを構築し、そこから自律・自動飛行するドローンで周辺道路や敷地内駐車スペースをホバリング中に空撮、画像をAI解析して車両台数をカウントすることで混雑度の見える化を行った。

 また空撮画像内で車両台数をカウントしたいエリアを指定できるツールも開発。ドローン空撮画像による車両台数の判定には、ドローンの自立・自動飛行とホバリング、適切な高度や角度による撮影が求められる。今回これらのノウハウを蓄積するとともに、空撮画像AI解析による車両混雑度把握が可能で、実プロジェクトに適用できるレベルにあることを検証することができた。

 これまで混雑度を把握したい場合には、道路に固定センサーを設置して走行車両を検知する手法や、駐車スペースでは入退車両計測等による手法が一般的だった。今回のドローン空撮による見える化は、日々変化する建設現場内や周囲の駐車環境を想定し、自由度が高く、必要な時に必要な場所の状況を把握できるドローンを用いた空撮画像で評価できることが特長だという。

 実施にあたっては、NTTコミュニケーションズがLTE上空利用プラン(※1)を用いて、ドローンの空撮データに対してリアルタイムAI解析を実施し、取得した車両台数データをもとに、三菱総合研究所がダッシュボード(※2)上で混雑度の見える化を行った。ドローン飛行については、センシンロボティクスがドローンの飛行地域局所のAI気象予測を活用して、ドローン飛行可否判定のうえ自律・自動飛行を行った。また関西電力は、人手によるバッテリー交換の必要がなくポートに着陸するだけでドローンに自動充電が可能な非接触充電を検証した。
 これらの実施においては、今回の実証実験で提供されたデータ連携基盤を利用してデータ連携を行った。

※1 LTE上空利用プラン:総務省で定められた携帯電話の上空利用に関する技術要件を満たしたデータ通信プラン。
※2 ダッシュボード:さまざまな情報やデータを画面上で可視化するツール。