2023年2月15日、SkyDriveは、大林組と共同で、人口集中地区(DID)となる橋梁建設現場において、物流ドローンによる自動自律飛行による資材運搬の試験運用を開始したことを発表した。

 建設現場では、建設作業員の高齢化・減少を見据えた対応が課題となっている。大林組では作業員が技能や習熟を必要とする作業に集中できるよう、AGVなどを活用した資材搬送の自動化を進めている。特に山間部や急傾斜地に立地する現場や、狭隘なヤードしか確保できない現場、また、工程上クレーンを設置することが困難な現場を対象として、物流ドローンの活用を検討している。

 両社は、2019年より共同で建設現場における重量物の運搬が可能な物流ドローンの活用の検討を行い、高速道路現場などで試験を繰り返してきた。今回の資材運搬試験運用では、SkyDriveが航空機開発技術を活用して開発した物流ドローン「SkyLift」の自動自律飛行により、現場内の朝礼広場から桁上空30mに最大20kgの資材を運び、無着陸・ホイスト機構(※1)で荷下ろしを行う。

※1 資材をドローンから吊り降ろす装置。吊荷が接地することでフックが外れる。

飛行経路
物流ドローン「SkyLift」
ホイストによる荷下ろし

 人口集中地区では飛行にあたって特別な申請が必要であり、高い安全性が求められる。加えて今回、試験運用を実施した橋梁建設現場は、建設中の構造物と近接することから、構造物に由来する突風や地磁気の乱れなどがあり、重量物運搬用ドローン適用の難易度が高いという。さらに鉄道営業線近接工事であるため、安全性のレベルを大幅に引き上げることが必要となる。

 今回の試験運用では、SkyLiftの自動自律飛行により定期的に建設中の構造物上へ資材を運搬できることを確認した。今後両社は実際の建設現場において試験運用を重ね、建設現場に適した機体の開発および効果的な活用方法を検討するとしている。

物流ドローン運転状況
運搬資材の例

試験運用概要

工事名称 :東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設工事(神奈川県横浜市栄区)
工事内容 :橋梁上部工(鋼3径間連続鋼床版箱桁橋)架設
事業主 :国土交通省 関東地方整備局 横浜国道事務所
発注者 :東日本旅客鉄道、東京建設プロジェクトマネジメントオフィス
施工者 :横浜環状南線交差部上部工新設共同企業体(大林・奥村・戸田JV)
場所 :神奈川県横浜市栄区
運用内容 :SkyLiftによる、朝礼広場から建設中の桁上(飛行距離 約100m、鉛直距離 約20m)までの資材(H型鋼、単管クランプ、ボルトナット)運搬
荷下し方法 :無着陸でのホイスト機構による荷下し

物流ドローン「SkyLift」基本仕様

SkyDrive社製の物流ドローン「SkyLift」
全長全長2.5m×全幅1.9m×全高1.0m(プロペラ展開時)
全長1.9m×全幅1.2m×全高1.0m(プロペラ折畳時)
機体重量35kg(バッテリー20kgを除く)
最大ペイロード30kg
20kg(ホイスト機構利用時)
飛行速度36km/h
飛行可能距離2km(最大積載時)
飛行時間9~15分(積載重量による)
運搬方法・機体固定式ボックス
・着陸せず荷物を昇降するホイスト機構