2023年3月13日、山口県美祢市は、NEXT DELIVERYと地域課題の解決に向けたスマート物流の構築について調査業務委託契約を締結し、2022年3月に続き2回目となるドローン配送実証実験を実施したことを発表した。

 NEXT DELIVERYとセイノーホールディングス、エアロネクストが推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流SkyHubの社会実装の検討に向けて実施したものとなる。

 SkyHubは、ドローン配送が組み込まれたオープンプラットフォームかつ標準化した仕組みで、ドローンデポを拠点に、SkyHubアプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供する。ドローンデポは、既存の陸上物流とドローン物流との接続点に設置される荷物の集積・配送の拠点であり、荷物をドローン配送できる仕組みを備えた倉庫の役割を持つ。

ドローンが着陸する様子(道の駅みとう)

 美祢市には小規模な集落が広く点在しており、商店や飲食店も少なく、人口の約44%を高齢者が占めるなどの理由から、日常の買い物など生活利便性の維持が求められている。また運送業界においては、人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。
 そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、地域課題の解決に向けた取り組みを行っている。

 3月9日~11日、道の駅みとう(美祢市美東町)と赤郷公民館(美祢市美東町)を起点として仮設ドローンデポを設置し、ドローン配送の実証実験を実施した。

 将来的なオンライン診療および服薬指導の実施を見据えて地元薬局と連携し、病院受診後の患者を想定した地元住民にオンライン服薬指導を行い、その後地域コミュニティである赤郷公民館まで処方医薬品を想定した荷物を配送した。また、道の駅みとうに仮設ドローンデポを設置し、買物弱者⽀援、災害時支援を想定した日用品、支援物資輸送を行った。使用機体はエアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」。

 3月10日の報道関係者への公開ではまず、道の駅みとうから赤郷公民館に向けて、片道約8kmを約18分で飛行し、地元スーパーから調達した弁当とペットボトル飲料を配送した。ドローンは着陸したのち機体から商品を切り離し、商品が住民代表に届けられた。

実証実験に使用した物流専用ドローン「AirTruck」
配送された商品を受け取る住民(赤郷公民館)
ドローン配送した弁当とペットボトル飲料