2023年2月17日、桐蔭学園は、実際に人が居住している鎌倉市の民間マンションにおいて、飛行中のドローンからの音波照射加振によるタイル外壁点検実験を実施したことを発表した。

マンション壁に接近するドローン

 民間マンションを含めた高層の建築物は10年ごとに、ハンマーを用いた叩き点検等による検査が求められているが、実際には仮設足場等の費用負担が大きいために現実的ではなく、非接触方式による検査方法の開発が期待されている。

 桐蔭横浜大学の杉本研究室では、ドローンからの音波照射加振を用いた非接触音響探査法を開発。叩き点検と同様の外壁点検を非接触で実施可能であることを、タイル外壁試験体を用いた実験結果より明らかにしている。

 今回の外壁点検は、神奈川県の大規模修繕コンサルタントの協力を得て実施。大規模修繕をおこなう前段階として、足場を組まない事前調査時に、赤外線カメラを搭載したドローンを用いた検査に加えて、提案手法である音源を搭載したドローンを用いた実験的な検査について、住民側から許可を得て行った。

実験セットアップ図

 実験は、赤外線カメラでは温度変化を検出しにくい、日中に陽の当たらない壁面に対して実施した。最初に音源を搭載したドローンを外壁の3~5m程度に接近させて、音波照射を行う。次に地上部に配置した高感度のレーザドップラ振動計を用いて、壁面の振動を計測する。タイル外壁の下に剥離や空洞等の欠陥(振動しやすい箇所)があると、健全部と振動の仕方が変化するために欠陥部を検出することができる。

 今回の実験結果から、1階と2階の間に小さな剥離と思われる箇所を発見した。桐蔭学園は今後も提案手法の実用化に向けた検討を続けていくとしている。

実験結果例