2023年1月25日、SkyDriveは、アリゾナ州のメサで開催された2023年度のeVTOLシンポジウム（※1）において、米国市場への参入計画と、サウスカロライナ州に本拠点を置いたことを発表した。
サウスカロライナ州では、2026年にSkyDriveの空飛ぶクルマ「SD-05」の運航開始を目指して協業・提携のネットワークを構築していくとともに、同州の政府機関や自治体と協力し、コロンビア・メトロポリタン空港とグリーンビル・ダウンタウン空港、2つの空港を起点としたユースケースの構築に重点を置いて活動する計画だという。
※1 垂直飛行技術への理解を深めることを目的とした技術協会Vertical Flight Societyが主催する「10th Autonomous VTOL Technical Meeting and Electric VTOL Symposium」。
SkyDriveは、サウスカロライナ州のビューフォート郡経済開発公社（Beaufort County Economic Development Corporation）に招待されたことをきっかけに、2022年7月から同州における市場機会を探るとともに、主要関係者とのネットワークを構築してきた。
同社は空飛ぶクルマの観光産業への活用、空港から都心へのよりシームレスな移動の活用などのユースケースで価値を提供したいと考えており、サウスカロライナ州は観光資源が豊富であるとともに、空港から都心の距離がSD-05の航続距離に適合していることから、同社がユースケース開発を行う米国での最初の事業拠点に定めたという。
また、同州はボーイング社やロッキード・マーチン社をはじめとする航空宇宙企業の本拠地であり、SkyDriveの主要サプライヤーの1つである東レカーボンマジックのグループ会社などのサプライチェーンが存在する、先進的な航空宇宙産業の都市としても知られている。
サウスカロライナ州の州政府や自治体、地元企業との協議を重ねた結果、SD-05を活用し、複数の主要空港を離着陸場とする実用的なユースケースを検討していくとともに、同州が空飛ぶクルマの商業運航都市として先進的な移動手段を実現することを目指し協力していくことを決定した。
今後同社は、2026年にサウスカロライナ州の複数の主要空港を起点とした商業運航の開始を目指し、空飛ぶクルマの運航ルートの確立や運航実現に必要なエコシステムの構築に向けた航空会社や地元の企業とのパートナーシップ形成を推進していく。また、米国市場でのサービス開始のために必要となる申請や手続きについても順次進めるとしている。
各者コメント
サウスカロライナ州 商務局 商務長官 ハリー・ライトシー氏
先進製造業、航空宇宙、自動車産業の未来はサウスカロライナ州にあります。サウスカロライナ州は、急速に成長する航空宇宙クラスターに、業界イノベーターであるSkyDriveを迎えることを誇りに思っています。SkyDriveの空飛ぶクルマを使った持続可能な移動手段の実用化は、州のビジネス開発目標にもぴったりです。サウスカロライナ州はSkyDriveを温かく歓迎し、同社の継続的な成長と成功への道のりを支援することを楽しみにしています。
コロンビア・メトロポリタン空港（CAE）企画／施設部長 フランク・マリー氏
CAEは、航空産業で新たに生まれる、環境に優しく先進的な移動手段の実現と、それが地元コミュニティの発展に良い影響を与える可能性があることに、非常に期待しています。CAEは当空港発のユースケースをSkyDriveと協力して検討するとともに、FAA準拠のインフラ整備を行い、エアモビリティ・エコシステム構築に貢献するために尽力してまいります。「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」という共通のビジョンを持ち、SkyDriveと協力して新しい可能性を開拓することを、とても楽しみにしています。
グリーンビル・ダウンタウン空港 空港責任者 ジェームズ・スティーブンズ氏
グリーンビル・ダウンタウン空港はSkyDriveと提携し、州や地元地域に貢献するべく「FAA準拠のエアモビリティ・エコシステム」のモデル化を支援し、空港が未来のインフラとしてどうあるべきかを検証していきます。グリーンビルにおける先進的なエアモビリティのユースケースが、新しい移動手段の在り方として認知され、私たちのコミュニティ、ひいては世界中の日常的な移動の選択肢の一つになっていくと信じています。
SkyDrive 代表取締役CEO 福澤知浩氏
サウスカロライナ州は、米国において民間・軍用航空産業分野で重要な役割を担っています。ボーイング社やロッキード・マーチン社を含む400社以上の航空宇宙関連企業の拠点である同州に、SkyDriveが米国市場への窓口として拠点を置くことを大変嬉しく思います。サウスカロライナ州のみなさまに支援をいただき、豊富なリソースを活用させていただきながら、米国で日本製の空飛ぶクルマを実用化すべく、尽力してまいります。