2023年1月31日、Vertiportの開発・運営を手がけるSKYSCAPEは、アルミニウム製のヘリパッドやeVTOLプラットフォームの設計開発を専門とするのBayards Vertiports Solutions(オランダ)、可動式のチェックインターミナルを開発するSafeHub Systems(アメリカ)とMOU(了解覚書)を締結したことを発表した。この締結により日本のAAM(次世代エアモビリティ)市場で第一世代となるVertiportの開発・販売を目指すとしている。

 日本国内で設置する予定のVertiportは3社間で設備の製造・開発を行い、SKYSCAPEが国内での独占販売権を獲得する。

 SKYSCAPEが開発を進めるVertiportは、アルミニウム製のブロックで構成される。このブロックは組み合わせたりつなげたりと、さまざまな設計デザインに対応する(モジュラー式)。これによりポートの周辺地域やニーズに合わせた設計が可能となる。

 このポートはドローン物流、eVTOL運用、ドローンによる緊急時の初動対応、医療配送、セキュリティなど、AAM技術やシステムを顧客自身が選択し、ブロックに組み込める仕様を計画している。顧客がVertiportに備える機能を選べるようにすることで、それぞれのVertiportが独自の機能や性能を備える。

 アルミニウム建設会社Bayardsのグループ会社であるBayards Vertiportsは、700台以上のヘリパッドを設置してきた実績を持ち、さまざまなタイプのプロジェクト管理、共同設計や共同エンジニアリングに必要なノウハウを備えている。今回の協業により同社のアルミニウム設計・エンジニアリングの経験を活かし、空飛ぶクルマやドローンの運航に特化した設計が可能となる。

 SafeHub SystemsのチェックインゲートシステムをVertiportに導入することで、スピード・安全・利便性を備えた体験を提供する。同社が開発したチェックインターミナルは、Vertiportオーナーのニーズに合わせて、乗客のチェックイン等の旅客業務とドローン配達等の貨物処理のどちらにも対応可能なモデルとなっている。

各社コメント

Bayards Vertiports 事業部長 James Earl氏

 SKYSCAPEとSafeHub Systemsと協業できることを光栄に思います。今までのeVTOL市場はCGのイメージコンセプトを売るだけでしたが、これからはより具体的なソリューションの提供へと進んでいかなければなりません。実現するためにはエンジニアリングや建設で実績を持つグループが必要となります。今回のMOUは具体的なソリューションの提供ができる3社が結束し、開発を着実に進める1歩になると思います。

SafeHub Systems 代表 TJ Dooly氏

 SafeHub Systemsはスタジアム、イベントセンターなどに革新的で安全かつスムーズ、そしてセキュリティ面でも問題なく対応できるソリューションの提供に取り組んでまいりました。今回SKYSCAPEおよびBayards Vertiportsと協業し、乗客や貨物を空で輸送するための初のVertiport開発に着手できることを非常に楽しみにしています。またこのビジョンを日本市場で実現するために協力できることを光栄に思います。

SKYSCAPE 代表 Quesenberry Asa Daniel氏

 今までVertiportを構想する多くの企業が、様々なイメージを作ってきましたが、実際に実現に向けた活動ができている企業は多くありません。我々はAAM業界を動かしてくために必要なアプローチについて日々検討を行なっています。現在、手頃な価格で個々のオーナーのニーズに合わせたVertiportの開発計画や業界の成長に合わせた施設の規模拡大に関するプランニングを進めています。日本で我々と協業するグループは今後数年間で社会に良い影響を与えることになると強く信じています。