2023年1月25日、Cogniteは、東京ガスの根岸LNG基地にDataOpsソリューションの「Cognite Data Fusion」を提供し、ロボットによる日常点検の自動化ソリューションの実証実験に採用されたことを発表した。

 製造・プラント業界では熟練技術者の退職や少子高齢化、若年者の生産現場離れが原因となり、生産設備の稼働を維持する現場の技術者・保全要員・作業員等の人手不足が進んでいる。こうした状況下で、点検作業など人的リソースを必要とする定型化した業務負荷の削減が求められ、ロボティクス活用の需要と検討機会が増えている。

 東京ガス根岸LNG基地においても、将来的な人的リソースの代替や業務効率化の実現を目的とした実証実験が行われ、米国Boston Dynamics社のSpotの活用とともに、Cogniteの提供するDataOpsプラットフォームCognite Data Fusionと、ロボット制御・管理を行うソフトウェアのInRobotが採用された。

 Cogniteは同実証実験において、ロボットに積載するカメラ(360度、赤外線)、レーザースキャナなどの測定センサーから、基地内にある装置やアナログ計器の画像を収集し、AIによって取得画像をデジタル化、データ活用におけるシステム構築や日常点検の自動化ソリューションを提供した。

 Cognite Data Fusionは、ロボットに積載するセンサーが収集する画像、映像データをリアルタイムに取り入れ、プラント・工場におけるさまざまなデータと関連付けることで、人や機械、アプリケーションで活用できるようにする。

 ロボットによる自動点検においては、対象設備を自動的に巡回して画像等の取得したデータを即座に解析して活用することが求められる。InRobotは、Spotをはじめとするロボットやドローンと連携し、ゲージ類、表面温度、液漏れ等の撮影・収集を行い、画像データはAIによりデータ基盤へ即座に集約され、ウェブ画面から自動点検ミッションの作成と実行を可能とする。データは機器ごとに整理して取り出しやすい形で格納され、画像解析等などの処理を自動的に適用する。また、AIが読み取った結果を時系列値として保管し、値の監視を行うアラート通知機能も備えているため、機器の異常を検知した場合には即時通知を行う。

実証実験の紹介動画

各社コメント

東京ガス根岸LNG基地 施設部 計装システムグループ マネージャー 梶間智文氏

 将来のLNG基地では様々なロボット、ドローンなどが現場で日々点検業務をしていると考えています。現場における異常の検知、アナログデータのデジタル化を実施し、AI診断と組み合わせることで、これまでばらつきのあった異常判断の均質化が実現し、日々の点検作業自体も高質化すると期待しています。また、Cogniteのデータプラットフォームは様々な情報の集約が可能ですので、ロボットの自動点検を皮切りに、設備のデジタルツイン化を進めることで、プロセスデータ、設備資料など、関連情報に素早くアクセスし、効率的にオペレーション、設備管理ができる環境を整備して行きたいと思います。

Cognite 代表取締役社長 江川亮一氏

 現在、生産・製造現場においては、技術者の引退などで人手不足が顕著となっており、無人点検作業の実現といった定型業務の効率化が求められています。日本国内においても、ロボットを活用した無人点検作業などの効率化の需要が高まっています。この度、東京ガス根岸プラントにおいて、ロボットと弊社DataOpsプラットフォームを利用した、ロボット管理や作業指示、取得データの収集と活用まで一貫したソリューションのご提案を実現したことを大変光栄に思います。また、実務での利用が進むことで、お客様の業務の生産性向上や生産現場のDX実現に必ず貢献できると考えております。