2021年10月26日、ニコン・トリンブルは、2020年10月に発表したTrimble社とBoston Dynamics社の戦略的提携に基づき、Boston Dynamics社が製造する自律四足歩行ロボット「Spot」の建設市場向け正規販売店となることを発表した。

 この戦略的提携は、建築、土木、インフラ、プラントなどの現場での各種測量計測データを自動で収集することを目的としており、ロボットとTrimble社の測量計測センサーによりデジタルツインを実現する。

 具体的には、Spotの自律的な機動性とTrimble社のセンサー制御を「FieldLink(フィールドリンク)」というソフトウェアに集約し、Spotを全自動あるいは遠隔操作しながら、現場の点群計測、進捗モニタリングなどの反復的なタスクを自動化する。

 その第一弾として3Dレーザスキャナ「Trimble X7」をSpotに搭載し、国内販売を開始する。受注開始は2021年11月1日。オープン価格。

 Trimble社は今後もSpotに各種測量計測センサーを統合していくとしている。

Trimble X7を搭載したSpot

 今回のソフト統合は、点群データの自動取得に重点を置いている。3DレーザスキャナX7の制御ソフトFieldLinkの最新版はSpotの制御機能を実装しており、Spotが事前設定されたウェイポイント上で自律的に点群を取得して、定期的な設計検証や施工進捗のレポートを行うようスケジュールすることができる。これにより、点群計測の効率性と現場やオフィスでのリアルタイムな現況データ分析が格段に向上するという。

 収集した点群データは、個々の取得位置だけでなく、現場のプロジェクト座標系にも結びつけることができる。収集される点群データは移動中でもタブレット上でリアルタイムに合成を行う。Spotが充電用ドッキングステーションに戻ると、Spot本体とX7のバッテリーを同時に充電し、ドッキングステーションからネットワーク経由でオフィスにデータを転送することも可能だ。

Spot+X7(ニコン・トリンブル ビルディングソリューション)

 従来の点群計測では作業者が観測ごとにスキャナや三脚の調整を行っていた。X7は自動整準機能により作業者が傾きを調整する必要がなく、温度や計測距離なども自動でキャリブレーションする。連続して観測した点群を自動で合成するため、現場での編集作業も不要となる。

Spot+Trimbleフィールドテクノロジー(ニコン・トリンブル ビルディングソリューション)