2023年1月25日、テラドローンは、アラムコのVCであるWa’edより18.5億円の資金調達を実施したことを発表した。同社の累計調達額は、約126.6億円となる。また中東に特化した事業戦略に伴い、産油国であるサウジアラビアにおいて、ドローン事業を展開する子会社「Terra Drone Arabia」を設立する。

 今回の資金調達と子会社設立により、中東における次期産業の振興、グローバル市場における展開を加速するとしている。

 サウジアラビア政府は、経済改革計画「サウジビジョン2030」において、石油依存型経済の脱却と雇用創出による持続可能な経済を目指しており、次期経済成長の柱としてドローン産業の振興に注目している。同計画の実現に向け、世界的な国営石油会社アラムコより、サウジアラビアや東南アジア等のイスラム圏での実績、欧州で運航管理(UTM)の導入実績を持つグループ企業Uniflyのプラットフォームがサウジアラビア政府によるスマートシティプロジェクト「NEOM」 で採択されている点等が評価され、出資に至ったという。

 テラドローンは中東を中心にドローン事業を展開するTerra Drone Arabiaを設立し、現地の雇用創出やドローン産業の振興、サウジアラビア主要産業である石油産業の効率化を行うとしている。

 世界のエアモビリティ市場は、2040年には160兆円規模の市場になると予測されている(※1)。石油ガス、化学、建設業界等における現場作業のデジタル化や、遠隔地や被災地における物流の効率化等、多岐に渡る産業領域への活用に加え、次期フェーズとして空を飛び交うエアモビリティの安全性や効率性が不可欠となる。ドローン同士の衝突回避や、住民が心理的不安を感じない、交差点や信号機の役割を果たす「空の運航管理」の整備が求められる。

 テラドローンは今回調達した資金を活用し、サウジアラビアにおける子会社設立、安全で効率的な空の移動を支え、新しいグローバルインフラを目指す空の運航管理プラットフォームの開発、各事業成長に向けた投資を行うとしている。

※1 Morgan Stanley, “Are Flying Cars Preparing for Takeoff?”, 23 Jan 2019

各者コメント

Wa’ed Managing Director Fahad Alidi氏

 Supported by the global track record of Terra Drone, our investment represents a compelling attempt at building the UAM ecosystem in the Kingdom, one that circles around sustainable economy. We foresee rapid adoption for UAM technology as an emerging tech vertical in the region, and Terra Drone is well-positioned to localize their innovation across the region, starting with the Kingdom.

 グローバル市場で実績を積み重ねているテラドローンへの投資は、サウジアラビアにおける持続可能な経済をベースとしたエアモビリティのエコシステム構築に向けた有力な試みとなります。私たちは、エアモビリティの技術が中東地域の新興技術分野として、急速に普及すると予測しており、テラドローンは、サウジアラビアをはじめとする中東地域全体で技術革新をローカライズするために最適な企業だと思っています。

テラドローン 代表取締役社長 徳重徹氏

 テラドローンは日本が世界に誇る技術分野で、設立当初からグローバル市場で戦う事を前提に創業された企業です。ドローン市場の黎明期である2016年から、これまで世界各地での実績を積み重ね、Drone Industry Insightsより世界No.1のドローン企業として評価されるまでに成長を遂げてきました。アラムコのVC Wa’edからの出資は、アジア初の出資となり、非常に光栄に思っております。世界でも有数となる3000件以上のドローンサービスの実績や、サウジアラビアの国家プロジェクト「NEOM」における運航管理プラットフォームの採択など、テラグループの実績を大きく評価いただき実現しました。日本発のベンチャーとして「サウジビジョン2030」の実現を通じて経済発展に貢献してまいります。新産業をリード出来る存在になる事で、日本発のベンチャー企業が世界で通用することをもう一度証明します。