2022年11月17日、JALは、鹿児島県瀬戸内町の「ドローンを活用したスマートタウン推進事業」の一環として、ドローンの運航にスマートフォンアプリなどのICTを組み合わせ、災害時および平時にドローンを活用する離島地域の実装モデルを構築することを目的に実証実験を行ったことを発表した。

 実証では、10月24日~27日にかけて、瀬戸内町と共同で、加計呂麻島および与路島・請島(二次離島)を結ぶ災害時・平時のドローン活用について検証した。これらの離島は、自然災害時の対応や安定した海上物流に課題があることから、ドローンによる課題解決のシナリオを設定し、各集落の住民、自治体、関係機関・企業も参加して実証実験を行った。

 JALグループは「奄美群島サステナブルプロジェクト」として、地域の伝統・文化・風土を活かした永続的な関係人口拡大の取り組み(ビレッジプロジェクト)および、ドローンを活用した地域課題の解決を目指す取り組み(ドローンプロジェクト)を推進している。
 ドローンプロジェクトにおいては、これまで瀬戸内町とドローンを活用した地域課題解決を目指す連携協定を結び、「災害発生時の孤立集落への救援物資輸送」および「日用品や医療関係品の輸送サービス」について検証を進めてきた。

実証実験内容

1. 集中オペレーションセンターにて、活用ケースに応じた複数機種を運航管理
 災害時・平時、および空撮・空輸の用途に応じ複数種のドローンを使用し、瀬戸内町古仁屋に設置したオペレーションセンターにて集中遠隔管理を行った。災害時や平時運航においても現地の運航環境状況、変化に即応できる運航管理体制を検証した。

2. 与路島・請島に至る長距離輸送ルートを安定運航
 与路島・請島は、船舶の就航率が気象条件に大きく左右されるため、物流が課題となっている。医薬品や生活必需品などをドローンにより空輸することで既存物流を補うことを想定し、古仁屋―与路島、古仁屋―請島(それぞれ片道約20km)を結ぶ直行ルートにて大型ドローンを運航した。
 実証当日は風速10m/秒を超える気象条件下においても、約20kgの物資を輸送することができた。

3. ICTを組み合わせたドローン活用
 災害時を想定し、ドローンの空撮による被災状況の把握、および救援物資の空輸を行った。
 瀬戸内町町役場に設置した災害対策本部には自衛隊、消防、警察も参加して、撮影用ドローンの飛行位置や高解像な撮影画像を関係者で確認するとともに、専用スマートフォンアプリを通じて集まる住民からの被災情報や救援物資の要請などをすべて一元的に集約してダッシュボートとして表示した。ドローンとICTの組み合わせにより、迅速な被災状況の把握、対策協議・判断に活用した。
 また、日用品配送への活用においても、商品の受発注に専用スマートフォンアプリを組み合わせたサービスモデルを検証した。

 これらの実証実験を踏まえ、瀬戸内町離島モデルの2023年度の実装・事業化を目指し、JALは今後、有人地帯の補助者なし目視外遠隔運航(レベル4)や複数機の同時運航等のノウハウを重ね、安全管理・運航管理などの航空運送事業のオペレーション・技術・知見により、その実現を支援するとしている。