2022年11月28日、SkyDriveは、ベトナムのPacific Groupと、空飛ぶクルマ導入に関する覚書を同日締結したことを発表した。これによりSkyDriveは、設計開発中の空飛ぶクルマの商用機「SkyDrive式SD-05型」の最大100機のプレオーダー(10機の確定、90機のオプション)に合意した。

ベトナムで行われた覚書締結時の様子。左から、SkyDrive代表取締役CEO 福澤知浩氏、Pacific Group会長兼社長 Le Ngoc Anh Minh氏。

 SkyDriveは現在、小型、電動、2人乗りの空飛ぶクルマSD-05の開発に取り組んでいる。2021年10月には国土交通省がSD-05の型式証明申請を受理し、型式証明取得を目指して開発を進めている。最大航続距離は約10km、最高巡航速度は100km/h。操縦はパイロットが行うが、コンピュータ制御のアシストにより飛行を安定させる。

 Pacific Groupは、ベトナムにおける鉄道や高速道路など、国から公共の仕事を受託し、インフラ開発を行っている。

「SkyDrive式SD-05型」のデザイン

 ベトナムでは日常的に深刻な交通渋滞が発生し、社会問題となっている。両社はこの課題に対して空飛ぶクルマを活用するため、SD-05のプレオーダーに合意するに至った。
 今後両社は、運航オペレーター、バーティポート(離発着場)や給電インフラなど、空飛ぶクルマの実現にあたり必要となるステークホルダーと協力して取り組みを進めるとしている。

各社コメント

SkyDrive 代表取締役CEO 福澤知浩氏

 ベトナムの名物とも言える、都市部のバイク、自動車がひしめき合う道路は、活気があり刺激的に感じます。しかし、一方で交通渋滞という社会問題を引き起こしているという現状、また排気ガスを多く排出するという環境問題を考えると、解決する必要がある重要な社会課題の一つかと思います。バイクや自動車の数は増加するばかりで、道路や駐車場の整備に時間を要する状況の中、空を使った移動手段「空飛ぶクルマ」をベトナムの新しい交通インフラの一つとして整備し、ベトナムの社会課題の解決に貢献できると嬉しく思います。国内に多種多様なビジネスネットワークを持つPacific Groupと提携し、Pacific Groupと共にベトナム市場に「空飛ぶクルマ」という新しい移動方法と、移動の楽しみを提供できることを楽しみにしています。

Pacific Group 会長兼社長 Le Ngoc Anh Minh氏

 ベトナム政府は、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)で、2050年までに温室効果ガスの排出量を正味ゼロにすることをコミットしました。これにより、ベトナムの企業や地域は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスや有害物質を極力排出しない、高い環境調和性を持った先進エネルギー(ゼロエミッションエネルギー)を使用する傾向にあり、今後、ゼロエミッションエネルギーを使用した移動手段は必須になると思います。一方で、ホーチミン、ハノイ等のアジアの大都市で、新しい交通手段を提供するためには、空飛ぶクルマが必要だと感じています。そのために、Pacific Groupは、SkyDriveやベトナム運輸省、ベトナム民間航空会社、ベトナム防衛省などの複数の当局と密接に連携し、空飛ぶクルマに関する動向や技術を説明し、航空許可と規制緩和をする必要があります。交通機関や規制、社会受容性等、障害が沢山ありますが、Pacific GroupはSkyDriveと共に一つ一つ解決していきたいと思っています。来年2023年はベトナムと日本の外交関係樹立50周年を迎えます。Pacific Groupのビジネスの為だけではなく、両国の化学と友好関係を強化するためにも、SkyDriveと共に活動を行っていきたいと思っています。