国際航業と中央大学 手計研究室、東京都中野区、東京都が共同で組成した「TOKYOドローンウェイ研究会」は、中野区内の神田川において、河川上空を活用したドローンによる物流・点検の実現に向けた実証実験を2022年10月24日に実施した。

神田川での実証実験の様子

 レベル4(有人地帯での補助者無し目視外飛行)の実現を目前に控え、都市部においても比較的障害物の少ない河川上空は、ドローンの利活用により物流・点検分野の省人化・効率化が期待されるフィールドである。
 同研究会は、ドローンの活用を促進している中野区などの協力を受け、同区内を流れる神田川の一部区間において、ドローンの物流や河川施設の点検・監視などマルチタスクユースに向けた基礎調査を目的とする実証実験を実施した。また、テクノロジーの社会実装に関わる地域交流の場として、近隣の東京都立富士高校・附属中学校の生徒や関係者約40名も参加した。

 実証実験では、実施区間内の護岸、橋などの施設を対象にドローンによる撮影を実施し、取得した写真から国際航業の3次元空間解析クラウドサービス「KKC-3D」を活用して3次元データ生成し、同社の3次元点群モデルビューアツールを用いて視覚化した。使用したドローンは、Skydio社の「Skydio2」。
 河道の空間情報に加えて近接する電柱・電線、道路標識や柵、植生などの情報も同時に取得することで、ドローンの航路および離発着地点等の検討に活用できることを確認した。

 今後は、公共工事におけるBIM/CIM原則適用の流れを背景に、河川施設点検等のメンテナンスにどう活用できるかなどの課題もあわせて検討を進めるとしている。

 なお同実証は、国土交通省の「河川上空を活用したドローン物流の更なる活性化に向けた実証実験」に採択されたものであり、今回の実験成果は採択を受けた全国18カ所のうちの一事例として、関係者に対する今後のフィードバック等にも活用される予定である。

神田川をSkydio2で撮影する様子
実証実験の実施区間
ドローン空撮画像から生成した3次元モデル

実証実験の概要

日時 :2022年10月24日(月)16:00~16:45
実施区間 :荒川水系神田川のうち、中野区内を流れる下記区間(合計約430m)
富士見橋~和田見橋(東京都中野区弥生町5丁目23~24番先)
和田見橋~善福寺川との合流点(東京都中野区弥生町5丁目7番先)
実施者 :中央大学 手計研究室、国際航業、東京都中野区、東京都
参加者 :東京都立富士高校・附属中学校の生徒・関係者
目的
①都市部の河川上空におけるドローンの物流・点検等の実現および活性化に向けた基礎調査の実施
②テクノロジーの社会実装に向けた地域交流の機会の提供
機材 (ドローン等):米Skydio合同会社製のドローン「Skydio2」、国際航業の3次元点群モデルビューアツール