群馬県安中市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクストは、2022年10月4日、ドローンを含む次世代高度技術活用により地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた包括連携協定を締結した。

 今後予定される実証事業では、旧松井田町地域をはじめ地域自主組織や地元事業者と連携し、地元住民に食料品・日用品や医薬品の配達を実施する方向で検討を進めている。

実証実験に使用するドローン「AirTruck」と、セイノーHD執行役員 河合秀治氏(左)、安中市長 岩井均氏(中央)、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏(右)。

連携協定の概要

1. 締結日
2022年10月4日

2. 協定の内容
 ドローンを含む次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。

(1)観光・産業・経済の振興に関する事項
(2)持続可能な地域交通や地域の事業者と連携した物流課題の解決による住みやすい環境づくりに関する事項
(3)医療・服薬指導・福祉の充実および継続に関する事項
(4)地域防災や地域の脱炭素化への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項
(5)地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関する事項

3. 取り組みの概要 (予定)
 安中市の人口は平成12年(2000年)の6万4,893人をピークに減少し続け、現在は5万5,546人(2022年8月末日現在)。少子化が進む一方、高齢化率も年々増加し、地区によっては6〜7割が高齢者という地区もある。
 市内には人口集中地区(DID地区)がないのも特徴で、市街地に人口が集中することなく、低密度に拡散した都市構造になっている。公共交通は乗合バス・乗合タクシー等が運行されているが、利用客が年々減少し、公的負担は増加している。高齢化が進む地域やバス路線がない地域住民の日常の買い物や通院などの生活利便性の維持のためにも交通手段は課題となっている。

 そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、課題の解決を目指す実証実験に民間企業と行政が協働して取り組んでいく。

物流専用ドローン「AirTruck」

各者コメント

安中市長 岩井 均 氏

 安中市では、地域の過疎化や高齢化が進んでおり、今後も買い物に行くことや医療機関の診察を受けることが困難な市民は増加すると考えられます。本協定の締結により、公共交通の拡大と共に、次世代高度技術を活用し、きめ細やかな買い物代行や医療サービスを提供することで、どこの地域の人々も安心して暮らすことのできる市を目指していきます。

セイノーHD執行役員 河合 秀治 氏

 セイノーホールディングスは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。安中市においては、物流が担う役割やテクノロジーの実装で住民の皆様が安心して暮せる豊かで魅力ある元気な街づくりと住民サービスに繋がるかを追求し、将来ドローンによる自動化を視野に入れ、新たな空と陸の物流モデル構築に向け取組んで参ります。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路 圭輔 氏

 おそらく安中市の皆様は日々の生活で不便を感じていないのではと思います。でもそれは地域の事業者の方々の努力によって支えられていて、5年後、10年後もこのままでいることは難しいと思います。地域社会に新しい生活インフラをつくりたいという我々の思い、活動に全国の多くの自治体様に興味を持って頂いていますが、安中市さんでいち早く実現する機会を頂きました。本当に有り難く思います。安中市の住民の皆様にとって利便性の高い生活環境を維持・改善するお手伝いができれば嬉しいです。