島根県雲南市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクストは、2022年9月16日、ドローンを含む次世代高度技術活用により地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた連携協定を締結した。

 高齢化や過疎化等の地域課題の解決に向けて、市民理解の醸成と雲南市の他地域への拡大を想定しながら、地域自主組織や地元事業者と連携したドローン配送実証実験を含む次世代高度技術の活用により、新しい物流のビジネスモデルの構築を目指すとしている。

<協定の内容>
 ドローンを含む次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。
1. 地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関すること
2. 持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくりに関すること
3. 地域防災や地域の脱炭素化への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項に関すること

(左より)セイノーHD執行役員 河合秀治氏、雲南市長 石飛厚志氏、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏。

 雲南市では小規模な集落が広く点在し、商店や飲食店も少ない。また、人口の約40%を高齢者が占めるなどの理由から、日常の買い物など生活利便性の維持が求められている。一方、運送業界は人手不足や採算性から特に過疎地域における配送維持が課題となりつつある。
 そこで物流の最適化を目指し、ラストワンマイルに地上輸送とドローン配送を連結する新スマート物流システムを導入することで、買い物代行や災害時支援、医薬品配送、共同配送や貨客混載等を行う仕組みをつくり、民間企業と行政が協働して取り組む。

 今回の実証事業では同市の掛合町波多地区・入間地区、吉田町吉田地区を中心に、地域自主組織や地元事業者と連携し、地元住民に食料品・日用品等の配達やフードデリバリーから始める方向で検討を進めるとしている。

実証実験に使用する物流専用ドローン「AirTruck」

各者コメント

 雲南市は、山間部を中心に高齢の単身世帯が増加しており、日常の買い物など生活利便性の維持が課題となっております。また、農作物等の出荷や集荷においても、免許返納者の方など産直市への配送手段が限られ課題となっています。こうした地域課題に対して最適な物流網を構築し、地域の意向も踏まえながら、地域自主組織や市内の事業者の皆様とも連携しながら実証事業を行って参ります。

雲南市長 石飛厚志氏

 セイノーホールディングスは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。雲南市におきましても地域の中で出来るだけ低コストで配送を担えるマルチタスク拠点を構築し、将来ドローンによる自動化を視野に入れて住民の皆様の住みやすい環境づくりと住民サービスを追求すると共に、既存の素晴らしい町の仕組み・モノは残しながら、新たな空と陸のインフラ構築に向け取組んで参ります。

セイノーHD 執行役員 河合秀治氏

 物流の2024年問題は、自治体によってはモノが届かないあるいは届きにくくなり、それぞれの地域の移住定住政策にも大きな影響があると考えています。我々はドローンやトラックなど様々な輸送手段をうまく組み合わせた新スマート物流SkyHubによるサービスを提供することで、雲南市の住民の皆様にとって利便性の高い生活環境を維持・改善するお手伝いができればと考えています。

エアロネクスト 代表取締役CEO 田路圭輔氏