敦賀市とセイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、出前館、NEXT DELIVERYは、2022年8月26日、敦賀市金ヶ崎緑地および東浦地区において、買物支援を想定したドローン配送実証実験を実施した。

 セイノーHDと、NEXT DELIVERYの親会社であるエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub」の社会実装に向けたもので、実施はNEXT DELIVERYが行い、システム的にはSkyHubシステムと出前館アプリを連携させるなどの準備を進め、敦賀市において今秋の実装を目指すとしている。

 敦賀市、セイノーHD、エアロネクストの3者は、水素・再生可能エネルギー・ゼロエミ物流等の脱炭素化の取り組みによる高齢化や過疎化等の地域課題の解決に向けて、2021年11月に包括連携協定を締結し、次世代高度技術の活用により新しい物流のビジネスモデル構築を進めている。
 2022年1月には愛発地区において、同市の地理的特徴を考慮した「市街地・過疎地連結型ドローン物流」の実証実験を行っており、今回は実証実験の第二弾となる。スマート物流の社会実装に向けて、同事業の市民理解の醸成と、敦賀市の他地域への拡大の可能性、将来的な観光施設との連携を目的としている。
 なお同実証は、国の「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用して実施するものとなる。

敦賀湾上を飛行する物流専用ドローン「AirTruck」

 今回実証実験を行う東浦地区は、敦賀湾に面し、アクセスが1本の道路しかない過疎地である。食品や日用品の買い物、医療施設への移動には時間がかかり、災害時には孤立集落になるリスクがある。
 実証では、住民の買物支援や観光施設との連携を想定し、敦賀赤レンガ倉庫内のテイクアウト商品を、金ヶ崎緑地から東浦公民館までドローンでオンデマンド配送した。使用機体は、エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」。

 住民が出前館アプリで注文し、SkyHubシステムに配送通知が入ったことを想定して、注文を受けた商品を調理した後、出前館のスタッフによりドローン離陸場所である金ヶ崎緑地ボードデッキまで徒歩で運び、ドローンにセット。ドローンは片道約7.8kmを約16分で飛行し、注文されたオードブルやデザート、ドリンクをこぼすことなく東浦公民館まで配送した。

実証実験の流れ
商品が入った箱をドローンにセットする様子(金ヶ崎緑地ボードデッキ)
実証実験に使用した物流専用ドローン「AirTruck」
スタッフから商品を受け取る住民(東浦公民館前)
配送した商品(オードブル、プリン、アイスコーヒー)

 まずは、敦賀市愛発地区において新スマート物流SkyHubの実装を今秋を目処に進めるとしており、各社荷物等を集約ならびに一時保管する拠点となる「ドローンデポ」と、ドローンの着陸地点となる複数の「ドローンスタンド」を設置して、地上配送と将来のドローン配送を想定した買物代行サービス等の準備を行っている。

(左より)セイノーHD 事業推進部ラストワンマイル推進チーム 課長 和田 悟 氏、NEXTDELIVERY代表取締役 田路圭輔 氏、敦賀市長 渕上隆信 氏、出前館シェアリングデリバリー本部長 執行役員 森山海太氏